SSブログ

PT-INR [言葉]

P144
薬効量と中毒量の近い副作用のワルファリンには、前もってちょうどよい量にあることを確認するための血液検査法が開発されています。「PT-INR」と呼ばれる血液検査です。
~中略~ 「私は毎回のように血液検査してるけど、あのお医者さんは、もしかしたら無駄な検査をしてお金儲けしてるんじゃないの?」なんて思ってしまう人もいるかもしれません。でも、ワルファリンを飲んでいる人は原則として1か月に1度は血液検査をしてPT-INRの値を確認することが薦められています。もし逆に1年も血液検査をしない、となるとそっちのほうが問題です。
 ワルファリンの効きをきちんと調べることがいかに重要かを示す身近な例を紹介しましょう。心房細動が原因で脳梗塞を起こし亡くなられた故小渕恵三元首相は、心房細動だということが判っていて、脳梗塞の予防のためにワルファリンを服用していました。
ですが、国会が紛糾してなかなか病院に行けない時期が続き、そのうちに脳梗塞を起こされて亡くなられてしまいました。
 病院に行けない時期が続いたといっても、もちろん秘書の人が病院に行ってワルファリンをもらってきて、今までと同じ量の服用は続けていたはずです。ただし、それが適切な量であるかどうか、検査することまではできなかったのかもしれません。また、食事のお弁当などで、ビタミンKがどのくらい入っているか、あまり構うことがなかったのではないでしょうか。
そんなことが重なって、ワルファリンの量が足りない状態になっていたと想像されます。
当時は、自民党と公明党、当時の自由党(党首小沢一郎氏)のお連立内閣が組まれていたのですが(小渕内閣の時代から公明党と連立内閣が始まったのです)、自由党の連立内閣からの離脱を決め、その記者会見を行っている最中から脳梗塞の症状を訴えはじめ、会見終了後に倒れられました。ワルファリン不足にストレスが重なっての脳梗塞だったのではと推測されます。

P146
 日本サッカーチームの監督をされていたイビチャ・オシム氏(「オシム語録」という著書でも有名ですね)のケースです。オシム氏も心房細動をワルファリンで治療していました。
ある時、PT-INRが少し高くなったのでワルファリンが効きすぎていると、減量したとたんに脳梗塞を起こしてしまいました。このようにワルファリンは正しく使っていても生活環境の変化によって変動が激しいので、効果不足になって脳梗塞が起きたり、逆に高価が強くなりすぎて副作用の出血が起きることがあります。

心房細動のすべて ――脳梗塞、認知症、心不全を招かないための12章
古川 哲史 (著)
新潮社 (2018/12/14)

心房細動のすべて ――脳梗塞、認知症、心不全を招かないための12章 (新潮新書)

心房細動のすべて ――脳梗塞、認知症、心不全を招かないための12章 (新潮新書)

  • 作者: 古川 哲史
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: 新書

 

 

>DSC_5086 (Small).JPG甲宗八幡神社


タグ:古川 哲史
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント