男のみがき砂として役立たないものはない [教育]
男というものが、どのように生きてゆくかという、その問題は、結局、さかのぼっていくと「幼児体験」に突き当たる。
幼児体験というのが一生つきまとうんだよ。
P210
人間の一生というものは、ことに男の場合、幼児体験によってほとんど決まるといっていい。
しかし、そう言い切ってしまったら、身も蓋もないわけだ。
~中略~
人間の一生は、半分は運命的に決まっているかもしれない。だけど、残りの半分はやっぱりその人間自身の問題です。
みがくべきときに、男をみがくか、みがかないか・・・・結局はそれが一番肝心ということですよ。
~中略~
仕事、金、時間、職場や家庭あるいは男と女のさまざまな人間関係、それから衣食住のすべてについて言えることは、
「男のみがき砂として役立たないものはない・・・」
ということです。
その人に、それらの一つ一つのみがき砂として生かそうという気持ちさえあればね。
P245
池波 正太郎 (著), 柳下 要司郎 (編集)
新編 男の作法―作品対照版
サンマーク出版 (2004/05)
玉は琢磨によりて器となる。人は練磨によりて仁となる。
いづれの玉か初より光りある。誰人か初心より利なる。
必ずすべからくこれ琢磨し練磨すべし。自ら卑下して学道をゆるくすることなかれ。
古人の云く、光陰空くわたることなかれと。
今問ふ、時光は惜しむによりてとどまるか。惜しめどもとどまざるか。
すべからくしるべし。時光は空くわたらず、人は空くわたるを。
懐奘 (編集), 和辻 哲郎
正法眼蔵随聞記
岩波書店; 改版版 (1982/01)
P90
永平寺の開祖道元(1200‐53)が洛南に道場を開いた時、その学風を慕って参じた懐奘(1198‐1280)が、日々に聞く師の言葉を記録したもの。勉学の心得はもとより宗教について死生について等々、人生の根源にかかわる問題が易しく述べられている。忠実な記者の態度を貫いた懐奘の筆によって、道元その人の言葉がよく伝えられているという。
憎悪、嫉妬、我執、不信、冷淡、貪欲、暴力。あるいは、あらゆる意味での不利な条件、多くの障碍。これらはたいていうとましく、悩みの種になるものだが、ま ったくないほうが人は強い人間になれるのだろうか。
いや、それら悪や毒こそが、人に克服する機会と力を与え、人がこの世を生きてゆくために強くしてくれるものなのだ。
「悦ばしき知識」
超訳 ニーチェの言葉
白取 春彦 (翻訳)
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010/1/12)
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