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認知療法 [ものの見方、考え方]

 うつ病の治療法として、認知療法という精神療法がある。認知療法はうつ病を理解するのに役立つと思うので、簡単に説明したい。
 認知療法とは、個人のものの考え方、つまり認知が精神状態に影響を及ぼしていることを認識し、その認知を変えることによって精神状態を変えていくという治療法である。過度に悲観的であったり、思い込みが強すぎたりする自分の認知のパターンを発見し、その「歪み」に気づいて、代わりの認知パターンをつくり、それらを記録する。そういった作業を繰り返し行っていくことによって思考の柔軟性を身につけていく治療法である。
近年日本でもうつ病や不安障害に対して行われるようになってきた。

 認知療法という学術的な名称は知らなくても、物事の考え方を変えることによって、人間の気持ちが変わることは経験知として誰でも知っている。そして、そのエッセンスは洋の東西を問わず古くから語られている。

 君が何か外的な理由で苦しむとすれば、君を悩ますのはそのこと自体ではなくて、それに関する君の判断なのだ。
ところがその判断は君の考え方一つでたちまち抹殺してしまうことができる。
(マルクス・アウレリウス)

世の中には幸福も不幸もない。ただ、考え方でどうにでもなるのだ。
(シェークスピア)
~中略~

一般的にうつ病患者に「気分の落ち込みはあなたの気の持ちよう」などとアドバイスすることは避けた方がよいと言われている。安直なアドバイスは、むしろうつ病患者を傷つけるからだ。
~中略~

 しかしながら一九七〇年代、米国の精神科医アーロン・ベックは物事の受け止め方や考え方を柔軟に変えることによって、うつ病が回復することを提唱した。
人間の持つ思考の柔軟性を回復させることが、うつ病の治療に役立つと考えたのだ。これはコロンブスの卵に近い発想であろう。

冨高 辰一郎 (著)
なぜうつ病の人が増えたのか
幻冬舎ルネッサンス (2009/7/10)
P164

-d331d.jpg北向観音1

   自分の内面を見つめることは、ぼんやりした意識をしゃんと覚醒させる。
「あ、今、サボって遊びたい欲望が生まれた」
「あ、今、上司への怒りが生まれた」
「おや、怒りが消えていった」
「あれ、今度は甘えが生まれたみたい」
「今は、漠然と不安になっているようだ」
 こうやって意識が自分の内面に向かい、それに君がいつも気づいていられるのなら、混乱した心が整理され、明晰になる。
法句経21

超訳 ブッダの言葉
小池 龍之介 (著)
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2011/2/20)
一二六  


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