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女縁 [処世]

   30代後半から「早すぎる余生」を迎えた女性は、家庭でもなく、職場でもない、「第三の空間」を求めて、ネットワークをつくってきた。わたしはそれを、脱血縁、脱地縁、脱社縁の「選択縁」と名づけてフィールドワークしたことがある。女性のあいだで先行しているから、「女縁」と呼んだ。1980年代のことである。
 都市サラリーマンの核家族の無業の妻は、地縁・血縁のしがらみからはずれている。援助も受けない代わり、拘束もない。~中略~
それなら自分の居場所くらい自分でつくろうと、女たちは、志や趣味、地域活動や子どものつながりをもとに、女だけのネットワークをつくりだしてきた。そのなかでは親族も及ばぬ助け合いや情報交換が行われている。なかには女縁をもとに企業してしまったひともいる。

男おひとりさま道
上野 千鶴子 (著)
文藝春秋 (2012/12/4)
P106

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P191
しょっちゅう食事やお酒をともにする友人には、思想信条についての議論はふっかけないほうがいいし、まったり時間を過ごしたい相手に知的刺激を求めるのは、おかどちがい。
なにごとにも蘊蓄(うんちく)派はたまにはいいが、疲れるから会うのはほどほどにしておこう。~中略~
 だいたい一人の相手に、知的刺激と心の安らぎ、切磋琢磨と包容力の両方を同時に求めたりするのは無理というもの。~中略~ 
 内面の共有などなくてもつながれるのがユル友。毎日を機嫌よく生きていくことを支えてくれる仲間がいればじゅうぶんだろう。
 女おひとりさまは、不安があるからこそ、こういうユル友ネットワークを自覚的・意識的に努力してつくってきた。男おひとりさまにそれがないとしたら、努力が足りん、と言いたいところだ。


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