日本を救う理系男子を救え [処世]
彼らのライフスタイルをやや乱暴に総括すれば、「他人より自分」。彼らにとって自分がどう見えるかは、人生の枝葉末節なのだ。
会う人の六割ぐらいは、ワイシャツ(ネクタイなし)にスラックス、その上に古びた白衣を羽織っている。これが定番。夏の昼下がりに訪ねた天文学者はTシャツに短パン、健康サンダルだった。
あのアインシュタインも、研究室ではいつも袖口が伸びたぶかぶかのセーターを着ていた。「少しは身なりに気を使った方がいいのでは」とアドバイスした人もいるらしいが、彼は決してスタイルを変えなかったという。漫画に登場する科学者だって例外なくお茶の水博士系。イケメンであったためしがない。
身なりだけならいいけれど、処世術にも疎いから気の毒だ。
~中略~
彼らは、女性と一対一のコミュニケーションに慣れていない。ファッションセンスも前述のとおり。圧倒的な訓練不足なのである。ひょっとすると、恋愛はノーベル賞よりハードルが高い。
理系人の恋愛力を探りたくて、お見合いの斡旋会社に取材したことがある。ベテラン相談員は言いきった。
「夫としてはお勧めです。素直だし、頭はいいし、浮気はしないし・・・・。磨けば光る。要するに女次第!」
ただ、ゴールインまでが山あり谷ありらしい。~中略~
救いは賢いことだ。試験管を上手に洗う練習のように、恋愛もトレーニングすればいい。
ある女性官僚が言う。「独身理系男性、あれをほっとくのは国家的損失ですよ」。彼らが結婚すれば、理系DNAを引き継いだ賢い子どもが増えて少子化は改善し、科学技術立国ニッポンの将来も安心なのだという。
気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)
P283
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