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IBS(過敏性腸症候群) [医学]

 

もともと、現在IBS(住人注;過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome))と呼ばれるような病気があるのではないかと概念的に考えられ始めたのは、アメリカの南北戦争の時である。
南北戦争の時、兵士の中に極端な腹痛や下痢など強い消化器症状のために前線に出られないという人が続出した。
当時、アメリカ陸軍省の医務官だったダ・コスタが神経が原因で消化器症状が出ることがあることを報告し、神経性の大腸症状という概念が誕生したのである。
 戦争は、通常では考えられないほどに極度のストレスが生じる状況である。このため、戦争を契機として、新しい病気の種類が提案されることがあるのだ。
たとえば、外傷後ストレス障害(Post-traumatic Stress Disorder:PTSD)もベトナム戦争の時に概念化された。

内臓感覚―脳と腸の不思議な関係
福土 審(著)
日本放送出版協会 (2007/09)
P32

内臓感覚 脳と腸の不思議な関係 (NHKブックス)

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  • 作者: 福土 審
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2007/09/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

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P33
キャノン(住人注:ウォルターキャノン(Walter B.Cannon,1871-1945))は、怒りや恐怖などの情動と同時に消化管運動が変化することを発見したが、その時、彼はまだハーバード大学医学部の学生であった。
 当時、ドイツのレントゲンによってX線が発見されたばかりであったが、キャノンはX線を使えば、生体の内臓の情報が得られるのではないかと考えたのである。~中略~ ネコを使って実験をしていたある日、恐怖によって身をすくめているネコの胃腸の運動が静止していることにキャノンは気づいたのである。
ハーバード大学の図書館に行くと、今もこの時のキャノンの自筆の実験ノートが残されている。

P35
 キャノンの時代にアメリカで活躍する二人の日本人がいた。野口英世と高峰譲吉である。野口英世はロックフェラー研究所におり、病原微生物狩人として、多数の実験動物を使っていた。そのため、動物実験に反対する団体の標的にされ、一時は研究者生命の危機に立たされた。
キャノンは野口への攻撃の中に東洋人への偏見が含まれていることを見抜き、適切な動物実験が医学と医療の進歩には必要不可欠であることを説く、堂々とした論陣を新聞に展開し、野口の危機を救った。
 高峰譲吉は消化酵素タカ・ジアスターゼの発見の後、キャノンと副腎髄質ホルモンの抽出競争に入り、二人はいわばライバル関係にあった。しかし、高峰が副腎髄質抽出物のホルモン単離に成功し、これをアドレナリンと命名すると、この業績を素直に認め、むしろその生理作用の解明に心血を注いだのである。

内臓感覚 脳と腸の不思議な関係 (NHKブックス)

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  • 作者: 福土 審
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