同じ目線で [対人関係]
国連からスーツ姿の人間がやってきていきなり「さあ、話し合いましょう」と言っても、彼らはまず耳を貸しません。それは当然のことです。もし彼らの立場だったら「こっちは命を賭けて弾の撃ちあいをやっているのに、そのビジネスマンみたいな恰好は何だ」と思うでしょう。
まずは、「こいつと話ができる」と思ってもらわなくてはいけない。ですから、「自分は相手と同じ目線に立っている」ということを態度をもって示します。
たとえば、相手が治安維持などの任務にあたっている兵士であれば、駐屯地で一緒に地べたに座り、軍隊のおいしいとはいえないランチを一緒に食べて、彼らの話にひたすら耳を傾けます。「どういった問題を感じているのか」「どのような想いを抱いて任務に就いているのか」「家族や愛する人たちへの想い」などをお互いに語り、時々一緒に泣いたりします。
そういった行動を通じて、「こいつは自分たち同じ目線でものを考えてくれる」「自分たちの話を聞いて、一緒に解決策を考えてくれる」という印象を刻み込むことができるのです。
交渉プロフェッショナル
島田 久仁彦 (著)
NHK出版 (2013/10/8)
P56
交渉プロフェッショナル 国際調停の修羅場から (NHK出版新書)
- 作者: 島田久仁彦
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2013/10/11
- メディア: Kindle版
タグ:島田 久仁彦
コメント 0