アキサケ [雑学]
日本では昔からサケを「捨てるところがない」といわれるほど大切に利用してきました。北海道を中心に大量に漁獲されるシロザケは、秋になると産卵のために生まれた川に遡上します。
河口付近に仕掛けた定置網で一網打尽にする「アキサケ」は、関東以北の人々にとっては伝統的な馴染みの食材でした。
しかし、現代の日本人が食べている「サケ」は、そのアキサケではなく多くがチリ産ギンザケなどの輸入サケ・マスです。産卵期前なので脂が抜け、色も味も薄くなるアキサケに比べて、輸入ものの養殖サケは真っ赤で脂の乗りもいい。そちらが人気となり、アキサケが食卓に上がる機会はほとんどなくなってしまいました。
日本人が知らない漁業の大問題
佐野 雅昭 (著)
新潮社 (2015/3/14)
P48
P51
近年は中国へに輸出が劇的に拡大し、かなりの部分は中国でフィレ(三枚下ろし)などに加工された後、アメリカ西海岸北部の大衆市場向けに輸出されています。~中略~
しかし、大手水産会社がアキサケを買い占めて輸出してしまうため、零細な地元加工業者への原料品が不足するようになりました。サンマやホッケに転換したり廃業に追い込まれたりする業者も出て、長年、地元のアキサケをサケ弁当に使い続けてきた道内のコンビニエンスストアも、限量不足から輸入品にシフトしてしまいました。
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