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気 [哲学]

わたしたちは、元気を出すためのありきたりのことはすでにいろいろ実践している。もっとも簡単なのは深呼吸だ。
今では西洋の不安やストレスの治療に組み込まれているが、深呼吸はいくつもの古代の伝統に起源をもつ。「内業」は深呼吸がたんなる呼吸以上のものだと教えている。
わたしたちが吸い込んでいるのはエネルギーだ。それが自分自身をなだめ、負の感情をしずめ、リラックスするのを助けてくれる。~中略~
 元気が出る別の例をあげよう。体を動かすことだ。土曜の朝ランニングに出かければ、エネルギーを蓄えられる。もっといえば、きみは自分にエネルギーを吹き込んでいる。
たしかに、足はがくがくするし、たっぷり汗もかく。一方で、おそらく陶酔感や高揚感も味わうだろう。「ランナーズハイ」と呼ばれる感覚だ。科学はこれをエンドルフィンという脳内麻薬の分泌と説明するが、「内業」は体内を流れる高純度のエネルギー、すなわち神の気として思い描く。
エネルギーがみなぎっていると、ものがより鮮明に見え、より鋭敏に感じられ、自分とそのほかの世界を隔てる壁が薄れていく。
 体を動かしたあとの爽快な気分と、仕事で心躍る画期的な成功をおさめたときの気分をくらべてみよう。気分が高揚するのはランニングのときと同じだ。幸福感がこみあげ、生命エネルギーが全身を駆け巡る。あるいは、音楽コンサートやスポーツ観戦へ行ったとき、周囲の見知らぬ人たちとのあいだに生まれる信じられないような一体感はどうだろう。
観衆のエネルギーが体内で脈打つのが感じられ、すっかりわれを忘れてしまう。
 こうしたエネルギーはすべてまったく同じものだ。~中略~
やっているのが体を使うことでも、頭を働かせることでも、人とかかわることでも、あの燃えるような興奮や世界との一体感は、まったく同じ身体的な感覚だ。
「内業」によると、わたしたちの経験はすべて<気>というエネルギーから生じなかでももっとも霊妙なエネルギー―爽快で生き生きした気分にしてくれるもの―は神のエネルギーだ。

ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義
マイケル・ピュエット (著), クリスティーン・グロス=ロー (著), 熊谷淳子 (翻訳)
早川書房 (2016/4/22)
P154

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