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オキシトシン [雑学]

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オキシトシンというには人と人の絆をつくる物質です。仲間を助けたり、弱い者を守ったり、子どもを育てたり、信頼を強めたりといった行動に直結し、「愛と信頼のホルモン」という呼び方もあります。
 これだけ見ると、オキシトシンの促進する行動は良いものであり、オキシトシンは増えれば増えるほどよいのではないか、という印象を受けると思います。が、そう簡単にはいきません。実は、オキシトシンが増えると、「妬み」「憎しみ」の感情も強まってしまうのです。
かわいさ余って憎さ百倍、とはよくいったものです。
~中略~
  絆を分断する、良好な関係を壊す、共同体のルールを破る、といった反社会性の顕現(けんげん)とみなすことのできる行動に対して、この芽を摘んでおこう、というのがオキシトシンの本来の役割です。一言で言うと、反社会性に抗して向社会性を高めるホルモンがオキシトシン、ということになります。

P109
 オキシトシンの濃度が高いとき、私たちの心理には興味深い現象が起こります。
「外集団バイアス」と「社会的排除」です。
 外集団バイアスとは、「自分たち」の集団に含まれず、「自分たち」と異なる人たちを不当に低くみなす認知バイアスのことです。ヘイトスピーチもこのひとつの表れであると言えるかもしれません。  社会的排除とは、「自分たち」の中にいながら「自分たち」とは異質な人たちを不当に攻撃したり無視したりする結果起こる排除のことを言います。
 この「異なる人」「異質な人」の存在を認めさせない、というのがオキシトシンの働きの大きな部分です。
 もうおわかりでしょうか?家族の中でこの仕組みが働くとき、妻が夫を束縛したくなり、夫は妻を支配したくなり、親が子どもをコントロールしたくなる、という現象が起こります。
「子どもに逸脱を許さない」「子どもが好き勝手やることは認めない」というのは「愛情ホルモン」であるオキシトシンがそうさせるのです。

空気を読む脳
中野 信子 (著)
講談社 (2020/2/20)

 

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天河大弁財天社(てんかわだいべんざいてんしゃ、天河神社)


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