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報道の役割 [社会]

  私は新聞を経営するに当たり、近頃わが国の恥にさえなっている誹謗や人身攻撃にわたることは、一切これを避けるように心を用いた。
こうした種類のものを載せてくれと頼んでくる筆者は、たいていきまって新聞の自由を主張し、新聞は乗合馬車のようなもので、料金を払う者は誰でも乗る権利があるなどと弁じ立てるのだが、そういう時には、私はいつも次のように応えた。

「もしお望みならその文章は別に刷って上げよう。あなたはお気に召すだけ何部でも持って行ってご自分で配るがよろしい。
だが、私は人の悪口を広めるようなことは引き受けたくない。私は有益な、あるいは興味ある記事を提供すると購読者に約束しているのだから、読者に関係のない個人的な言い争いは載せることができない。
そんなことをすれば、明らかに読者の利益を害するのだから」

フランクリン (著), 松本 慎一 (翻訳), 西川 正身 (翻訳)
フランクリン自伝
岩波書店 (1957/1/7)
P181

フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)

  • 作者: フランクリン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/01/07
  • メディア: 文庫


-6d5c9.jpg大山寺1

>>>ベンジャミン・フランクリン

 

 政府は、さらに出版物取締り強化をはかって、九月七日には治安維持罰則勅令を公布した。その維持令には、社会不安をうながすような記事を掲載した新聞、雑誌等の発行人に対して、十年以下の懲役、禁錮、又は三千円以下の罰金に処すことが明記されていた。
またその取締りを一層確実なものにするため、九月十六日には新聞、雑誌等の原稿を洩れなく検閲する命令が内務省から発せられた。
~中略~
大地震発生後新聞報道は、たしかに重大な過失をおかした。
その朝鮮人来襲に関する記事は、庶民を恐怖におとしいれ、多くの虐殺事件の発生も促した。その結果、記事原稿の検閲を受けねばならなくなったのだ。 
しかし、それは同時に新聞の最大の存在意義である報道の自由を失うことにもつながった。記事原稿は、治安維持を乱す恐れのあるものを発表禁止にするという条項によって、内務省の手で徹底的な発禁と削除を受けた。

関東大震災
吉村 昭 (著)
文藝春秋; 新装版 (2004/08)
P232

 

 

新装版 関東大震災 (文春文庫)

新装版 関東大震災 (文春文庫)

  • 作者: 吉村 昭
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/08/03
  • メディア: 文庫


糸井 世界の人々が福島に対して抱いているイメージは、そうとう現実と違っているんでしょうね。
早野 おそらく。最近、福島県で撮影されてYou Tubeに公開された「HAPPY福島版」という動画が話題になっていたんですが、そこでは福島の人たちが笑顔で踊ったりしているんですね。それを見た外国人たちが、「これは本当に福島で撮ったのか?」って、なかなか信じない。そういう感じは、この会議(住人注;県立福島高校に通う3人が、ヨーロッパの高校生が集まる研究発表会で、福島第一原発事故の影響に関する発表をした)で、ものすごくリアルのものとして実感しましたね。
糸井 遠くにいて、ニュースだけで知っていることと、実際の現場はまったくかけ離れていることもあるんですよね。
以前お会いした、国際的なジャーナリストの方から聞いたんですけど、「紛争地区に入っても、ほとんどの地域では人々が普段どおりの生活を送っている」そうなんです。ある地域で住民が激しく投石をしているって聞いて取材に行くと、まったくその気配がない。住民の人に訊いてみたら、「その投石は午後三時から、一本向こうの通りでやりますよ」みたいなことを言われたそうです。
早野 うん、そんなものかもしれない。
糸井 やっぱり、国際報道って、限定的でショッキングなことをピックアップしていることが多いから、国内の報道もそうですよね。
早野 そういう感じですね。悪いことはニュースになるけれど、そうじゃないことはニュースにならない。悪かった状況が徐々に回復している、なんていうことは報道されませんからね。

知ろうとすること。
早野 龍五 (著), 糸井 重里 (著)
新潮社 (2014/9/27)
P163

 

知ろうとすること。 (新潮文庫)

知ろうとすること。 (新潮文庫)

  • 作者: 早野 龍五
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/09/27
  • メディア: 文庫





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