モンゴロイド流子育て [教育]
いちばん言いたかったことは、とにかく、ヒト社会全体でもそうですけれど、なかでもモンゴロイドは子どもを長くていねいに育てるのが特徴なんだ、ということです。
ヒトは本来、ネオテニー化した未熟なサルであり、モンゴロイドはその戦略をさらに進めた。
未熟だからこそ、いつまでも脳が柔らかくて多くを学べる。未熟になったのは、そのためなんです。
未熟さのメリットを生かすためには、子育てをキチンとしなければならない。そのためのしつけ、教育、社会の”仕掛け”は必要で、それを失うと未熟性のマイナス面が出てきてしまいます。
~中略~
南さんは、もうおわかりだと思います。いままでの話で未熟になった原因はわかってますから、そこを直せばいいんです。
伸坊 モンゴロイド流子育てに還ることですね、子育ては長くていねいに。しかも群れの中で社会性を身につけさせて、食事は魚を、DHAをとるト。
澤口 素晴らしい答えです。満点です。
①ネオテニーを生かす幼年期の適切な脳教育。
②大人になっても知性を伸ばすのをあきらめない。
③食生活を見直す。
平然と車内で化粧する脳
澤口 俊之 (著), 南 伸坊 (著)
扶桑社 (2000/09)
P 184
P217
澤口 子育てにとっての普通の環境は、一夫多妻型の社会です。別にハーレムをつくれという意味じゃなくて・・・
つまり多様な人間関係に囲まれた環境です。
母性と父性に見守られて、少し成長したらギャング集団をつくって、もみくちゃにされる。そのとき、違った年齢の子どもたちと自由で自発的な関係があって初めて普通の環境といえます。そんななかでは、ちょっとしたけんかやイザコザ、はっきり言ってしまえば多少のいじめなどはあって然るべきなんです。そういうネガティブな関係と、仲良く遊ぶといったポジティブな関係が入り交じって初めて、社会的知性は発達します。
それはヒトどころかサルの社会の基本であって、痛みを覚えるなんていうのは本来、子ども同士で情動体験的に覚えていくもんなんですね。それをぜんぶ止めてしまおうとするのは、子どもたちから「普通の環境」を奪うことと同じです。
~中略~
でも、その多重する知性を統合する前頭連合野の知性は、絶対に「普通の環境」がなければ発達しません。人間関係だけは、英才教育が効きません。
~中略~
澤口 ガキ大将がいてタテ社会のルールを覚えて、おせっかいだけど頼りになる近所のオバサンがいて、口うるさいガンコ親父みちなのが常識を振り回してて。
でもみんな同じ長屋の一員として子どもに愛情をもっている・・・
ヒトは目的志向性があるから、今はツラくても将来を見こして我慢できる。そこをうまくクスグるのがヒトとしての進化に合った脳教育法なんです。スポ根なんて、まさにそうです。
また想像力があるから、時間と空間を超えて情動体験ができる。こうなればきっといいだろう、と感動を先取りできるから、夢をもち目的をもって、がんばることができるんです。
好奇心が強いから、次から次へと目標を持つこともできます。それを維持すれば、「理想」になるはずです。
目的志向性も想像力もチンパンジーにはありません。
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