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言葉が実体化する [言葉]

   執着という言葉も、縁起という言葉も、涅槃という言葉も、それがいつからあった言葉かわかりませんが、その言葉が教えとして定着した瞬間から、すべてが始 まりました。
 当然ですが、言葉がなければそもそも人に伝えることはできませんし、みんなが当たり前に思っていたことでも、それはあくまで「思っていたこと」であり、言葉 にならなければ、広まることはありません。

 「仏像ブーム」という言葉も、「ゆるキャラ」という言葉も、それまでその言葉が示すような現象や存在があったとしても、言葉を与えられなければなかなか実体化していきません。しかし不思議なもので、言葉として定着した瞬間、一気にその実体が目に見えるようになってきます。
 裏を返すとそれは、言葉というものがいかに怖いものかという証拠でもあります。
 言葉というのはとても便利で、それがあったからこそ人間はここまで進化してきましたが、一方で悪い影響も人間に与えてきたはずです。どうしても人間の脳と いうのは、言葉に弱くて、言葉に洗脳されがちです。

マイ仏教
みうらじゅん (著)
新潮社 (2011/5/14)
P170

TS3E0498 (Small).JPG関門港

四五〇 立派な人々は説いた―〔ⅰ〕最上の善いことばを語れ。(これが第一である。)〔ⅱ〕正しい理(ことわり)を語れ、理に反することを語るな。これが第二である。 〔ⅲ〕好ましいことばを語れ。好ましからぬことばを語るな。これが第三である。(ⅳ)真実を語れ。偽りを語るな。これが第四である。
~中略~
四五一 自分を苦しめず、また他人を害しないことばのみを語れ。これこそ実に善く説かれたことばなのである。
四五二 好ましいことばのみを語れ。そのことばは人々に歓び迎えられることばである。感じの悪いことばを避けて、他人の気に入ることばのみを語るのである。
四五三 真実は実に不滅の言葉である。これは永遠の理法である。立派な人々は、真実の上に、ためになることの上に、また理法の上に安立しているといわれる。
四五四 安らぎを達するために、苦しみを終滅させるために、仏の説きたもうおだやかなことばは、実に諸々のことばのうちで最上のものである。

ブッダのことば―スッタニパータ
中村 元 (翻訳)
岩波書店 (1958/01)
P91


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