二十世紀の始まり [雑学]
さてそんな一九〇一年の一月十日、アメリカのテキサス州に大油田が発見された。一日十一万バレルも噴出するという、全米一の大油田であった。これがアメリカの経済発展に大きく寄与したことは言うまでもない。
~中略~
二月二十五日に、アメリカの金融王、J・P・モルガンがカーネギー製鋼を買収し、自分の持っていた鉄鋼九社と合わせて、全米鉄鋼生産の七割以上を占める巨大会社、USスチールを設立した。世界で始めて十億ドル企業であった。
この買収で、モルガンはアンドリュー・カーネギーに二億二千五百ドルを個人資産として払い、カーネギーは世界一の金持ちになった。つまり、アメリカの巨大財閥が生まれてきたのが、まさに二十世紀の初頭の出来事だったのである。
モルガンのライバルである石油王ロックフェラーが、全米の銀行を把握していくのも同じ頃である。
~中略~
そういう巨大財閥が経済を動かし、それだけではなく政治も動かし、時には戦争さえもおこしていくのが二十世紀なのだ。
そういう頃に日本は何をしていたのかというと、二月五日に官営八幡製鉄所がスタートしていた。この製鉄所はトラブル続出で、翌年七月には操業停止になってしまうのだが、ともあれ、日本も大いに工業化に乗り出そうとしていたのだ。
ちょっとひねった言い方をすれば、二十世紀は鉄で始まった、というところだろうか。
なお、二月三日には慶應義塾創始者の福沢諭吉が六十七歳で生涯を閉じている。
もっとどうころんでも社会科
清水 義範 (著),西原 理恵子 (イラスト)
講談社 (1999/12)
P216
高松
タグ:清水 義範
コメント 0