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たばこ [養生]

 たばこは天正・慶長年間(一五七三~一六一五)の近年になって、他国から渡ってきた。「淡婆姑」は日本語ではない。外国語である。
 煙草は、毒である。煙を吸い込むと目が回り倒れることもある。習慣になれば害も少なくなり少しは益もあるといわれるが、害のほうが多い。
病気になったり、火事になったりと、心配ごとが増える。習慣になると、煙草をやめられなくなり家計にも負担をかけることになる。

養生訓 現代文
貝原 益軒 (著) , 森下 雅之 (翻訳)
原書房 (2002/05)
P124

DSC_5989 (Small).JPG高松

  ニコチンは脳に快楽をもたらすと同時に、タバコ中毒を誘発する。
 不思議と世間ではニコチンのあしき面ばかりが強調されているが、好ましい作用も多い。ニコチンには脳を覚醒させ集中力を高める働きがあり、記憶力を増強させる。
パーキンソン病の症状を改善させる効果もあるらしい。また、アルツハイマー病などの認知症患者の脳ではアセチルコリン作動性神経が劇的に減っている。
つまり、ニコチンの脳内作用を解明することは、健康な脳がどうやって記憶や集中力を保持するかを理解するための足がかりになるだけでなく、脳疾患の治療に向けて有用な知見をもたらす可能性さえあるのだ。

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?
池谷 裕二 (著)
祥伝社 (2006/09)
P290  

P117
 アメリカの著名な研究者は、「非喫煙者の、どこをどう押してもタバコと関係なさそうな腺癌が増えている、その原因について私らは何も分からないし推測すらできない。今できるのは患者の血液や腫瘍サンプルを保存して、将来的な解析に備えることだけである」と言っていた。
アメリカは教条主義的な国であって、肺癌はイコール喫煙にきまっている、他の要素のあろうはずがない、だから治療の研究なんか金を使うのは言語道断という人たちも多いので、こういう「わからない」こと正直に告白する研究者はそれだけで尊敬に値すると、私は思う。
 これだけではむろん、タバコ反対の根拠は何も揺るがない。仮に肺癌を(もしくは他の病気を)根絶させることができないにしても、相当数(おそらくは大部分)減らせるだけでも、タバコを失くす意義は十分にあるのだから。ところが以前、私がある学術誌で、「禁煙と関係ないであろう肺癌もある、しかも増えていると思われる」と書いたところ、「そういうことを書いて研究者生命を断たれた医者もいるから、お前も気をつけたほうが良い」という有り難いご忠告(一般人には脅迫の範疇に入る)の手紙をいただいた。

P119
 タバコは有害である。やめた方がよろしい。それは間違いない。しかしアルコールだってそうだろう。~中略~
 健康や生命はそれ自体貴重なものであるが、他のすべてに優先するものか、これを第一義的に尊重するのが唯一の正義なのか、私には確信はない。私には、今の禁煙運動の正義は、愛国婦人会の正義と重なるのではないかという疑念がどうしても拭えない。

偽善の医療
里見 清一(著)
新潮社 (2009/03)


喫煙は頭を悪くします。考えたり、創作したりすることを不可能にします。
それは怠け者や退屈している人々だけのすることです。彼らは人生の三分の一を寝て過ごし、三分の一を飲食その他、必要な、あるいはむだなことで空しく過ごし、そうしておいて、人生は短いと口ぐせに言いながら、残りの三分の一をどうすべきか知らないのです。
そうした怠け者にとっては、パイプに親しむこと、空中に吐く煙をながめることは、時間つぶしになるので、利口な楽しみです。
喫煙にはビールもつきものです。それで、熱くなった口腔がさまされるのです。
(「クネーベルへ、一八〇八年)

ゲーテ格言集
ゲーテ (著), 高橋 健二 (翻訳)
新潮社; 改版 (1952/6/27)
P84


禁煙、禁煙とプレッシャーを感じているくらいなら、「タバコはやめません」と腹をくくってしまうのも一つの考え方ではないだろうか。
はっきり言ってしまえば、この年齢までタバコを吸ってきたのだから、いまさらやめても手遅れの感があるのも否めない。
 そう思うくらいなら、いっそ、タバコをおいしく楽しんでしまえばいいのである。
どうせなら、心の底から「うまい」と思って吸うことだ。「やめなければ」「やめなければ」と罪悪感を持ちながら吸うのと、「うまいなあ」と楽しんで吸うのでは、心に与える影響がまるで違う。「やめなければ」という思いのストレスのほうがマイナスが大きいことも考えられよう。

精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術
保坂 隆 (著)
大和書房 (2011/6/10)
P201



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