当てにしてはならぬ [ものの見方、考え方]
[第二百十一段] 凡てのことは、当てにしてはならぬ。愚かな人は、ひどく物事を当てにするから、恨んだりおこったりするのだ。
権勢があるからと言って、頼みにしてはならぬ。強力なものは先に亡びるからだ。
金持ちだからと言って頼みにはしないがよい。瞬時に失いやすいものだ。
学問があるからと言って、頼みにしない方がよい。孔子のような聖人も不遇であった。
徳があるからと言って頼みにしてはいけない。行いのよかった顔回も不幸であった。
主君のお気に入りをも頼みにしてはいけない。何時罪にあって殺されるかもしれないからだ。
下僕がよく従っているからと言って安心してはならぬ。そむいて逃げ去ることがあるからだ。
他人の好意も頼みにはできない。必ず変るからだ。
約束をも信じてはならぬ。誠意のある場合は稀だ。
自分の身をも、他人をも、当にさえしなければ、よい時は喜び、具合が悪い時は別に恨みもしない。
(他についたり頼ったりしないので、)左右(横)が広くあいているから、さわるものがなく、また前後が遠く離れているから、ふさがることもない。
~後略
徒然草―現代語訳
吉田 兼好 (著), 川瀬 一馬
講談社 (1971/12)
P288
菅尾石仏
P164
他の人は自分が何もいわなくても助けてくれるわけではありません。
自分の問題は基本的に自分で解決すべきだと思い、他の人は依頼すれば自分を助けてくれるかもしれないが、それはその人の善意であって義務ではない、と考えたいのです。
このことは、他の人から自分の気持ちを察してもらったり、思いやられることを期待してはいけないということであり、黙っている限りは自分の思いは人に伝わらないということを意味しています。
アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために
岸見 一郎 (著)
KKベストセラーズ (1999/09)
アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)
- 作者: 岸見 一郎
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 1999/09/01
- メディア: 新書
恃(たの)むところある者は、その恃む者のために滅びる。
[織田信長] 戦国武将 | 1534-1582
自分の運命は自分でコントロールすべきだ。
さもないと、誰かにコントロールされてしまう。
[ジャック・ウェルチ] 米国の実業家・GE社経営責任者 | 1935-
犬は自由でいられるのに人間はそれさえも出来ない。
[ボブ・ディラン] 米国のミュージシャン | 1941-
人生はワンチャンス! ―「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法
水野敬也
(著), 長沼直樹 (著)
文響社 (2012/12/11)
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人生はワンチャンス!- 「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法 人生は~シリーズ
- 出版社/メーカー: ミズノオフィス
- 発売日: 2013/07/05
- メディア: Kindle版
もとより捨てる神あれば、拾う神ありと言うがごとく、世間に善い人あることは、僕の固く信じて疑わぬところである。
しかし、もっと頼みになる人と思うた者が、実に頼み甲斐がなかったという感を起こし、人を怨む場合が多いのは事実である。
これは最初より、かかる人を頼りにしたのが間違いである。頼み甲斐がなかったからとて、それでただちにその人を不人情であると判断することはできぬ。
かえって、甲斐なき人を頼りにした自分の愚を悟るべきである。
修養
新渡戸 稲造 (著)
たちばな出版 (2002/07)
P358
「この世で何とか耐え忍んで暮らすには、人間の自己本位をやむをえぬものと悟ることが肝要だ。
それを忘れると、自我を殺して人のために尽くすなどということを他人に求めることになる。愚の骨頂だ。
誰でも身勝手で自分本位だと是認すれば、他者に求めなくなる。
人に失望することはなくなり、きみも人を寛大な目で見られるようになる。人間は人生で、たった一つ、自己の快楽、それだけを求めているのだ」
(人間の絆」四十五章、一九一五年)
モーム語録
行方 昭夫 (編集)
岩波書店 (2010/4/17)
P20
白井 驚くべきは、コミュニケーションにおいてずっと間違ったメッセージを相手に伝えているのに、それに一向に気づかないということです。相手はこういう意思を持っているはずだというのはあくまで希望的観測であって、確たる根拠はありません。それなのに、相手の意志がこっちの推測とは違っている場合もあるという事をいっさい想定しない。
このような楽観主義をもって太平洋戦争に突入していったわけですが、それ以降もずっと、腑抜けたものの考え方は続いていきます。
その代表が戦争末期におけるソ連による講和仲介への期待です。~中略~
今回もまた、これと同じことをやっているわけです。アメリカはきっと、日本の立場を分かってくれるはずだと。中国と日本とどっちを取るのかというニ者択一を迫られた時、アメリカは日本にとって不都合になるようなことはするはずがない。そういう希望的観測しか持っていないわけです。
日本劣化論
笠井 潔 (著), 白井 聡 (著)
筑摩書房 (2014/7/9)
P049
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