スピリチュアルペイン [言葉]
「私の人生は何だったのか」「もう生きていてもしょうがない」・・・・。
がんなどで命の終わりを自覚したとき、多くの人が自分の存在理由や人生の意味に苦悩する。
こうした痛みを「スピリチュアルペイン(霊的な痛み)という(→解説16)。体の痛みばかりでなく、この痛みを癒すのも緩和ケアの重要な役割だ。
大切な人をどう看取るのか――終末期医療とグリーフケア
信濃毎日新聞社文化部 (著)
岩波書店 (2010/3/31)
P78
P92
解説16 4つの痛み
英国のシシリー・ソンダース医師によると、がん患者には、疼痛やだるさなど「身体的痛み」、不安や抑うつなど「精神的痛み」、経済面や家庭内の問題など「社会的痛み」、死を前に自分の存在価値や人生の意味に悩む[霊的痛み」(スピリチュアルペイン)―の4つがある.
前の3つは薬や制度で取り除けることが多いが、霊的痛みはそうした解決法がない.前の3つが解決して初めて姿を現すこともある.相互に影響し合っているため、緩和ケアは4つの観点から患者を全体的にとらえることが重要となる.
P80
日本ホスピス緩和ケア協会理事長で、ケアタウン小平クリニック(東京都小平氏)の山崎章郎院長(60)は、
「緩和ケアの本質はスピリチュアルケアにある」とする。薬で体の痛みが消えても、人生の意味を問う本質的な苦悩は解決しない。その危機にある人に向き合うのがスピリチュアルケアであり、
「がんに限らず困難を抱えるすべての人に共通する普遍的なケア」だからだ。
~中略~
山崎院長は「何も特別なことをする必要はない」と強調する。
「病や死に直面したとき、誰もが人生の新たな意味や希望を見いだす力を持っています。患者が希望を見いだすまでの間、話を傾聴し、思いを一緒に確認することが大事なのです。
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