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「一緒に住まない?」は悪魔のささやき? [家族]

  介護保険はもともと在宅支援が目的。それが施設志向になってしまったのは、なんといっても「利用者」が家族だからだ。家族のつごうを考えれば、テマのかかる年寄りには家から出て行ってもらいたいと思うのは人情。
同居を開始したばっかりに、家族によって施設入居を決められてしまうことになる。同居しているからこそ、出て行ってもらいたいということになれば、本末転倒ではないか。それなら最初から同居を選ばなければよかったのに、と言いたくなる。
だからこそ、「一緒に住まない?」という子どもからの申し出を、わたしは「悪魔のささやき」と呼んでいるのだ。
 ここ数年、介護保険の在宅支援サービス利用量が徐々に増える傾向にある。その理由は、夫婦世帯と単身世帯が増えたせいだ。
 こうした介護保険の利用動向をみても、在宅支援を受けたくない(つまり他人に家に入ってきてもらちたくない、したがって年寄りのほうに家からでていってもらいたい)のは家族のほう。それさえなければ、高齢者は他人に家に入ってきてもらうことをためらわない。
家族がいなければ、いや、もっとはっきり言おう、子どもさえいなければ、在宅でヘルパーさんに来てもらう敷居は高くない。

男おひとりさま道
上野 千鶴子 (著)
文藝春秋 (2012/12/4)
P167

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南禅寺
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E7%A6%85%E5%AF%BA


 家にいて役に立つ年寄りは歓迎されます。ましてや年金付きなら持参金を持ってきてくれるようなもの。孫が小さいうちなら大歓迎でしょう。ですが、夫婦共に長寿化した今日、妻が夫に先立たれる死別率が有配偶率を上まわるのは70代後半以降。そのころには孫も大きくなっていますし、老老介護で夫を看取った妻自身も、大なり小なり心身に不調をきたして要介護状態になっているでしょう。
何もすることのない元気な年寄りに家にいられるのもやっかいなものですが、要介護状態の年寄りと同居すればもっとたいへん。
家族介護の負担の果てに、「すまないけど、家から出て行ってほしい」となりかねません。行き先は施設です。
 家があるのに、家族がいるのに、施設に送られる・・・・・こんな不条理があるでしょうか。いえ、もっと正確にいえば、家に同居家族がいるからこそ、その家族の意思決定で施設に送られる・・・・・・それが大半の施設入居の実態であることを現場で知りました。

おひとりさまの最期
上野千鶴子 (著)
朝日新聞出版 (2015/11/6)
P62



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