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早期発見・早期治療すれば治るわけではない [医学]

近藤8住人注;近藤誠) ~前略 そしていまに至るまで、「胃切除をした方が生存期間が長くなる」という実証は出ていないんです。
~中略~
近藤 がんの9割は「末期発見・治療断念」「放置」が最も望ましいと思います。
固形がんの治療はあくまで、痛みが出てきたらそれを抑えたり、呼吸が苦しくなったら気道を広げる、などQOL(生活の質)を維持するためだけにやればいいと思いますよ。

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ
別冊宝島編集部 (編集)
宝島社 (2013/4/22)
P115

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 大型本

DSC_0918 (Small).JPG両子寺

P116
近藤 「潜在がん」という病変があります。生前症状がなく他の原因で亡くなって解剖して見て、初めてわかる。たとえば50歳を超えた男性の2人に1人は、死後解剖すれば前立腺がんがみつかる。けれども、それは放っておいても大きくならない潜在がんです。
~中略~
 詳しく健診するほど、最新鋭機を使うほど、がんはいくらでも見つかります。でもその大部分が、命を奪わない潜在がんか「がんもどき」です。放っておいても大きくならないか、消えてしまうがんです。
~中略~
近藤 本物にせよ「もどき」にせよ、がんは自覚症状が出てから医者にかかれば十分です。自覚症状もないのにがん検診をしてもなにもいいことはない。

P116
近藤 がんには、見た目は同じでも「早い段階でさまざまな臓器に転移し、命を奪う本物のがん」と「転移しない、命にも支障のないがんもどき」があります。

P117
近藤 ~前略
 最近、分子生物学分野の研究が進んで「がん細胞には、できるとすぐ転移する能力がある」ということが明らかになっています。「がんは大きくなってから転移する」という説は間違いだということが、いよいよはっきりしてきた。
 つまり本物のがんは、早い段階で多数の臓器に転移している。だから、検診で見つかってから標準治療(外科手術、放射線、抗がん剤)をしても治りません。
結局がんっていうのは、ほかの臓器への転移があるかないかで、運命が決まってしまう。
中村(住人注;中村仁一) 固形がんの早期発見には、意味がなさそうですね。
近藤 結局のところ、本物のがんにしろ「もどき」にしろ、固形がんは治療をあせらず様子をみるのが賢明なんです。

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

別冊宝島2000号「がん治療」のウソ (別冊宝島 2000)

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 大型本

 そういえば、なんとか医師の「がんもどき」理論というのがありますが、私から言わせれば理論というより愚論です。あの考え方は、がんにはそれぞれの性質があるけれど、その性質は固定したものであって、いつまでも変わらない、という前提にたって組み立てられています。これまでの研究成果から、その考え方は完全に否定されています。がん細胞は突然変異が蓄積しやすくなっているので、どんどん進化していくのです。
「がんもどき」といってもいいような状態があることは否定しません。しかし、進化するのですから、その状態でいつまでも留まっているとは考えられないのです。新しい突然変異が生じることによって、増殖能が増したり、次に説明するような浸潤能が増したり、転移能を獲得したり、というような進化をとげていくのです。ですから、ほうっておいたらいい、というようなものでは決してありません。

こわいもの知らずの病理学講義
仲野徹 (著)
晶文社 (2017/9/19)
P203

こわいもの知らずの病理学講義

こわいもの知らずの病理学講義

  • 作者: 仲野徹
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: 単行本


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