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人吉 [雑学]

 江戸幕府の諸大名のなかで、相良氏と島津氏が最古の家系であった。いずれも頼朝の鎌倉幕府から任命されて下向した。それまで相良氏の祖は遠州(静岡県)相良庄に住んでいたという。
その遠州相良氏のうちの相良三郎長頼という者が「建久九年肥後国球磨郡人吉ノ庄」をもらって下向したというから、明治維新までじつに六百七十年という長期間の家系をつづけている。

街道をゆく (3)
司馬 遼太郎(著)
朝日新聞社 (1978/11)
P131

街道をゆく 3 陸奥のみち、肥薩のみちほか (朝日文庫)

街道をゆく 3 陸奥のみち、肥薩のみちほか (朝日文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2008/08/07
  • メディア: 文庫



  

一乗寺 (14).JPG一乗寺

P133
人吉には水害がつきものである。この宿も何度か浸かっているという。
 熊襲八十梟師のころは水をおそれ、山の斜面の高所に人間の住居が営まれていたようだが、中世末期になって城下町がつくられると、ひとびとは盆地の低所に降りてきて町屋をつくるという危険をおかすようになった。
人間から見れば盆地かもしれないが、水の神さまからみれば人吉は本当は湖の底だというかもしれない。たまたま乾季だからわれわれはのうのうと宿で遅い夕食を食い、球磨焼酎を頂戴しているのだが、じつは乾湖の底を山の水神たちから一時借用しているというカリソメの姿なのかもしれず、人の人生も人吉の地面も似たようなもののように思われる。


街道をゆく 3 陸奥のみち、肥薩のみちほか (朝日文庫)

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  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2008/08/07
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