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福岡 [雑学]

 福岡は地理的に無防備で、浸水しやすく、水飢饉と飢餓におびえ、エネルギーも自足できない脆弱な都市であった。
 都市の条件の4項目のうち3項目「安全」「「食糧」「エネルギー」はあまりにも見劣りする。
 なぜ、福岡はこのような異常な巨大都市になったのか?

日本史の謎は「地形」で解ける
竹村 公太郎 (著)
PHP研究所 (2013/10/3)
P350

P351
 その彼の(住人注;帚木蓬生氏)のデビュー作がこの「白い夏の墓標」であった。
 圧巻だったのが、小説の冒頭で紹介される「B型肝炎ウィルス」についてであった。
B型肝炎ウィルスは血と血がまじりあう親密な関係を経て感染するユニークなウィルスだ。人と人が交わって伝播するこのウィルスは「文化」の伝播のようなものだ。
人を通じて伝播する文化は地域的特徴をもつ。それならB型肝炎の多くの亜種にも地域的特徴があるのではないか。この仮説に基づいて主人公医学チームは日本及び日本周辺のB型肝炎ウィルス亜種「r型」と「w型」の分布解明に取り組む。
 その結果、ウィルス亜種によって歴然と地域差がでた。r型は九州に多く、北上するに従いw型が増加してゆく。~中略~  これだけではない。日本周辺各国の亜種の分布が衝撃的であった。中国、韓国ではr型が100%で、w型が0%であった。さらに驚くことに、台湾、フィリピン、インドネシアでは逆にr型が0%でw型が100%であったのだ。
 ここまで明らかになれば次の推論は十分説得性を持ってくる。すなわち、
「原初の日本民族はB型肝炎ウィルスw型に感染していた南方系であった。そこへ中国大陸からr型に感染した人々が九州ないし本州西端に上陸し、ゆっくり北上しついには本州北端まで到達した。しかし、明治になって全国各地の人々が北海道へ移住したので、北海道は平均化され東京と同じ値になった。他方、r型の人々は南下しなかったので沖縄はw型の原型を医保ち続けた」
 B型肝炎ウィルスの亜種分布が数万年にわたる日本列島での民族の交流を教えてくれているのだ。

P353
 数年前、土木学会主催のシンポジウムで「外国漂着ゴミの調査」という防衛大学の山口晴幸教授の奇妙で風変わりな研究発表があった。 ~中略~  図2のゴミ漂着分布図によれば、福岡における海外漂着物は圧倒的に多い。
 特にハングル文字の漂着物が多く、その次に大陸系漢字となっている。先島諸島や沖縄では台湾やフィリピンからの漢字や英字の割合が増えている。
 本州最北端の青森ではハングル文字が多い。
~中略~
つまり、漂流する人々が最初に上陸する土地が福岡であった。
 福岡は日本列島の玄関口であったのだ。

P355
 福岡は都市の条件の4番目の「交流」がとてつもなく大きなウェイトを占めていた。単に本州と九州を結ぶ交流軸などというものではない。
 ユーラシア大陸を横断し朝鮮半島から日本列島にたどり着く世界文明の大交流軸、その大交流軸の上に福岡は位置していた。


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