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下戸遺伝子は中国南部出身 [雑学]


 余談ですが、この(住人注;アセトアルデヒドを分解する酵素の)遺伝子は両親から受け継ぐのですから、正確に言うと私たちのなかには、正常型のALDH2をセットで持っている人と、一つ持つ人、まったく持たない人の三つのタイプがあることになります。そうなると、一つだけ持っている人は、お酒の強さに関して言えば、ちょうど中間の能力を持つと考えたくなりますが、事情はちょっと複雑です。この遺伝子から作られれるタンパク質のユニットが四つ合体して機能していますので、そのなかに一つでも変異型を持っていると正常に働きません。ですから四ユニットすべてが正常型で構成されるのは確立的には一六分の一になってしまうのです。
つまり正常型の遺伝子を一つ持っている人のアセトアルデヒドの分解能力は、二つ持つ人に比べると約6%ということになります。
~中略~
変異型は中国南部を中心とした極東アジアの地域に多く、そこから離れると徐々に保有率が低下していくことがわかります。
ヨーロッパやアフリカの人々には、変異型の遺伝子を持つ人はほとんどいません。
周りを見わたせば、必ず何人かのお酒が飲めない人を発見できる私たちからすれば、これはずいぶん奇妙な状況です。
中国に行くと北京のような北部の都市で宴席に出されるのがアルコール度数の高い蒸留酒であることが多いのに、上海などでは紹興酒のような醸造酒であることが多いのも、この遺伝子の分布に一致しているように思えます。
~中略~
このような分布状態は、変異型が中国南部で発生し、その後のヒトの移動にともなって周辺の地域に広がっていったと考えるとうまく説明できます。
~中略~
お酒に弱い人に関して言えば、少なくとも祖先の一人はこの中国南部に由来していることになります。


日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造
篠田 謙一 (著)
日本放送出版協会 (2007/02)

P34



日本人になった祖先たち DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)

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  • 作者: 篠田 謙一
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2007/02/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



DSC_0622 (Small).JPG鶴林寺 (加古川市)



タグ:篠田 謙一
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