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「かゆい」には心がからむ [雑学]

 一般の方に「かゆみに抗うつ剤などの、向精神薬が効く」と話すと大抵驚かれる。
~中略~
 それにしても、抗うつ剤の外用が効果的とは、興味深い話ではないだろうか。
 向精神薬が効く理由についてはまだまだわかっていない点も多いが、「かゆみ」は単に皮膚炎など体表の病気から発生するだけでなく、そこに「心」が大きく関わってくる感覚だということがこのような事実からも推測される。


なぜ皮膚はかゆくなるのか
菊池 新(著)
PHP研究所 (2014/10/16)
P38


なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

  • 作者: 菊池 新
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/10/16
  • メディア: 新書

 




P42
 つまり、かゆみは交感神経が優位な状態であっても、副交感神経が優位な状態であっても感じやすくなる。非常に精神的な影響を受けやすい感覚だということがわかる。
それゆえに、このようなかゆみのコントロールは困難を極めるわけである。

P44
 心がかゆみにおよぼす影響をカットすることができれば、アトピーなどの皮膚病のかゆみ治療はスムーズになるだろうか?
 答えは「YES]である。もし仮に、アトピーの人に「あなたはまったくかゆくないんですよ」という催眠術を完璧にかけることができたならば、その人はもうかゆみを感じず、掻かなくなるはずだ。
そうすれば、かゆみのスパイラル、イッチ・スクラッチサイクル(次項に詳述)による悪化がなくなるのは間違いない。
 もちろん、アトピーの場合は実際に慢性化した皮膚病変があるため、それに対する治療は必要になる。しかし、掻かなくなれば、症状を悪化させることは圧倒的に減るだろう。

P166
 実はどんなときでも、皮膚には常にさまざまな刺戟が加わっている。
空気の動きや温度の変化、衣服や椅子への接触、電車に乗り合わせた人の肩や肘など、皮膚では膨大な情報が感知されている。
 しかしそれらの情報を、すべてそのまま脳が感知していたら、処理しきれないため、脊髄のレベルである程度ブロックしていると推測されている。第二章五九ページで取り上げた「痛みがかゆみをブロックするメカニズム」と同じで、ある閾値に達しないような、生体にとって危害を加えないであろう弱い刺戟は、できるだけ無視してしまおうというわけだ。
 その制御機構が何らかの原因で壊れると、皮膚に加わる全ての刺戟を脳が感知してしまい、パニック状態に陥ってしまう。それがむずむず脚症候群であると考えられるのだ。
 つまり中枢性のかゆみも、このように脳内で何らかの制御機構が外れたときに生じる「心」の叫びと言えるのかもしれない。


なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

なぜ皮膚はかゆくなるのか (PHP新書)

  • 作者: 菊池 新
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/10/16
  • メディア: 新書

 


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