SSブログ

虚空蔵菩薩 [見仏]

 仏教の菩薩としては、上述の四尊(住人注;弥勒・観音・普賢・文殊)の他に重要なものといえば、大地と空との恵みを象徴した地蔵と虚空蔵の両菩薩がある。~中略~
虚空への信仰は星宿、日月の信仰とも関係をもつものであり、大日如来の信仰とも関係をもつものである。そのために虚空蔵菩薩の性格は理性的な面を多分にもっているといいうるのである。
 この虚空蔵菩薩は既に奈良時代から知恵のほとけとして信仰されており、既に奈良時代には僧道鏡も虚空蔵求聞持法を修していたことが知られている。また弘法大師も入唐以前にこの法を修していたことが伝記によって知られる。
弘法大師の虚空蔵信仰は深かったものとみえ、金剛峰寺講堂にその像を安置していたことが知られ、またその思想を体系化した五大虚空蔵菩薩図を弘仁十二年に描いているのである。神護寺の五大虚空蔵菩薩像(→四八ページ)は弘法大師の歿後あまり時代を経過していない時期の作品として著名であり、東寺(教王護国寺)山内の観智院には恵運が請来した五体の尊像が本尊として安置されている。
 広大にして、無辺な虚空に対する哲学的解釈はインドにおいてはさまざまに考えられている。
又、その考えを根底としたほとけも成立するのである。それが虚空蔵菩薩である。
蔵とは大宝あり、自在にこれをとり、貧乏を受けざらしむ」といっている。そのために、この尊は大日如来の福智の二徳を司るとされている。又他の経典では虚空蔵菩薩を金剛界の大日如来、地蔵菩薩を胎蔵界の大日如来の変化身とすると説く説くものもある。

続 仏像―心とかたち
望月 信成 (著)
NHK出版 (1965/10)
P50



DSC_5361 (Small).JPG滝ノ観音寺

P51
地蔵菩薩は大衆の信仰のなかに入っていったが、虚空蔵菩薩信仰は両界曼荼羅図における虚空蔵菩薩の信仰によったものではなく、虚空蔵求聞持法を修することによって、叡智を得る信仰である。この法は、大安寺道慈律師が受法して帰ったもので、善議・護命・勤装・空海と伝えられたものである。



タグ:望月 信成
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント