別所 [見仏]
五木 前略~
比叡山の中には黒谷などの別所というところがあった。比叡山の中にはたくさんのお堂とか院があるわけですが、公の仏教儀式に参加せず、ひっそりと勉学一筋に打ち込んで、叡山の中での出世機構とか官僚的システムから自らはずれた人々の集まる地域が、別所としてあったわけです。比叡山の別所は黒谷で、法然はまずそこに行く。
それとは別に、また大原の別所とか何の別所とかいうのがあって、そこではそういう人たちが、自分たちで群れをつくった。その人たちは宗教官僚システムからはドロップアウトしたわけです。給料をもらえないわけですから、生活は自分たちで賄わなければいけない。それで結局、托鉢をするとか、加持祈祷のようなことをやるとか、いろいろなかたちで民間の人たちの布施を受けることによって生活を支えた。
親鸞と道元
五木寛之(著),立松和平(著)
祥伝社 (2010/10/26)
P132
戸上神社内満隆寺
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