郷士 [雑学]
こういう地付きの大名は例外なく、地縁の深い、郷士をたくさん抱えている。島津にも郷士が多い。
郷士は、ふだんは俸禄は雀の涙ほどしかもらわず、田畠の耕作、木こり、地引き網の引き手など、あらゆる生業に従事している。
しかし、一朝ことあると、槍をたずさえて、出陣する。それで、島津は、さほど俸禄を出さずに、大軍を組織できた。
日本列島の端っこであったから、許された芸当といってよい。それで、明治に士族の制度ができたとき、日本人の士族の十人に一人は鹿児島藩士であった(落合弘樹「西郷隆盛と士族」)。
殿様の通信簿
磯田 道史 (著)
朝日新聞社 (2006/06)
P189
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