バックパッキング [言葉]
ハンズ(アーム)・フリーという言葉がある。荷物を背負うと両手が自由になるという意味だ。
ついでにいうと、ヒール・フリーという単語がある。足全体が固定されたゲレンデスキーに対して、かかとが自由に動かせる歩くスキーを、賞賛の意味をこめて、こう表現する。
つまり、腕やかかとを自由にしてやるということは、規制からの離脱、古い価値観から脱皮、そして精神の解放を象徴的に意味した。これはベトナム戦争をきっかけに若者たちが起こした、固定観念からの解放運動、いわゆるヒッピームーブメントの基本思想だった。
バックパックを背負って、主として自然のなかに入ってゆく行為を彼らはバックパッキングと呼んだ。
いってみればハイキング、あるいはトレッキングという行為なのだが、あえてバックパッキングという言い方がもてはやされ、彼らのことをあえてバックパッカーと表現したのは、こういう社会的背景なかなで生まれたからなのだった。
つまり、バックパッキングは、それそのものが思想、あるいは哲学という側面をもっているのである。
バックパッキングのメッカとなったのが、カリフォルニアのシエラネバダ山脈であり、ヨセミテ国立公園だった。
自然の歩き方50―ソローの森から雨の屋久島へ
加藤 則芳
(著)
平凡社 (2001/01)
P194
自然の歩き方50―ソローの森から雨の屋久島へ (平凡社新おとな文庫)
- 作者: 加藤 則芳
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2001/01/01
- メディア: 単行本
P204
家財道具一式をバックパックに詰め、自由気ままに山野を歩くバックパッカーたち。持つのは数日間山野で生活できる最低限の衣食住。それにフィッシングロッドと本。
贅沢を好まず、シンプルであることに価値を見いだし、よりナチュラルであることを志向するバックパッカーがめざすは、自然が溢れるウイルダネス wildderness。
自然の歩き方50―ソローの森から雨の屋久島へ (平凡社新おとな文庫)
- 作者: 加藤 則芳
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2001/01/01
- メディア: 単行本
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