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玉依姫 [雑学]

 宇佐の姫神の御名を玉依姫と伝えた理由は、久しい間の学者の問題であって、あるいはこれによって山に祀った御神を、海神の御筋かと解する者さえあったが、神武天皇の御母君が、同じく玉依という御名であったことは、だだ多くの例の一つというばかりで、前にも言うごとく賀茂でも大和でも、およそ神と婚して神子をもうけたもう御母は、皆この名をもって呼ばれたもうのである。
玉依はすなわち霊託であった。人間の少女の最も清くかつ最もさかしい者を選んで、神がその力を現したもうことは、日本神道の一番大切なる信条であった。神のお力を最も深く感じた者が、御子を生み奉ることもまた宗教上の自然である。
今日の心意をもってこれを訝るの余地はないのである。真野長者が愛娘も、玉世であったゆえに現人神はすなわち訪い寄られた。それがまた八幡の古くからの信仰であった。

海南小記
柳田 国男
(著)
角川学芸出版; 新版 (2013/6/21)
P176


海南小記 (角川ソフィア文庫)

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  • 作者: 柳田 国男
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2013/06/21
  • メディア: 文庫

 




DSC_4402 (Small).JPG宇佐神宮
タグ:柳田 国男
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