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食育 [教育]

  給食という食のシーンが、魚を美味しく食べさせるのに適していません。給食には厳しい予算的制約があり、そもそも安い魚しか利用できません。~中略~
 給食で食中毒を起したりすると大問題になります。鮮度劣化が一番怖いので、安心な冷凍品が望ましい。さらに徹底的に加熱すればなお安心です。しかし、加熱し過ぎると水産物は過剰に脱水され硬くなります。冷えた状態ではさらに硬くなります。
 水産物の調理は火加減や食べる温度が重要です。表面はカリッと焼いて、ギリギリのところで火を止め、なるべくジューシーで温かいうちに食べるのが美味しい。しかし何百食も一気に作るのに、そんな細かいことは気にしてはいられません。やはり揚げ物がまとめて大量に調理できて、確実に火を通せるので好まれています。
 冷えて硬くなった魚の揚げ物を、プラスチックや金属の皿の上に載せて、牛乳と一緒に食べる。

日本人が知らない漁業の大問題
佐野 雅昭 (著)
新潮社 (2015/3/14)
P180


日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

  • 作者: 佐野 雅昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/14
  • メディア: 新書

 



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P182
 フランスの小学校では、低学年の頃から継続的かつ計画的に味覚教育を行っていると聞きます。何がおいしくて何がまずいか。既存の評価を押しつけるのではなく、経験を重ねて舌を鍛えるのです。
最後の仕上げは全員が正装で本格的なフレンチレストランでフルコースを食べるのだそうです。言葉で教えなくても子供たちはフォーマルな「食」のシーンから勝手に何かを感じとるのでしょう。
理屈ではなく、体育と同じように頭ではなく身体で覚える食育という考え方に私は強く共感します。
 本物を体験させ、その意義を理解させることが真の教育であるなら、骨なし魚や魚ハンバーグなどを食べさせるのは逆効果です。

P190
 いろんな魚の味を自由に楽しむ。それができるのが日本の水産物の良さなのです。未知の味を知りたい、新しいものに触れたい、という好奇心があれば「魚食」は学びの場となります。「魚食」はこうした創造的、教育的なものでもあります。
こうした「学び」はファストフード、ファミレスやコンビニでは絶対に経験できないものです。

P187
 マハゼや小アジのような雑魚は、河口や防波堤から簡単に釣ることができます。細い糸一本で自然の生物とつながる興奮、命を獲り自然から食べ物をいただく感覚も知ることができる。
そして自然や環境について真摯に学ぶ身持ちを膨らませます。
釣って遊び、調理して食べ、そして学ぶ。雑魚とは何ともありがたい存在ではないでしょうか。




日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

日本人が知らない漁業の大問題 (新潮新書)

  • 作者: 佐野 雅昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/14
  • メディア: 新書
 
 
 
 
 
 

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タグ:佐野 雅昭
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