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名医も治療法も人それぞれ [医療]


 重要な医療上の決断をするときには、患者はセカンドオピニオンをとるようにしばしば勧められる。実はリサも別の高名な整形外科医にセカンドオピニオンを求めて受診していた。
「先生に何がベストかと聞くと、彼は「あなたの希望は何ですか?」って質問し返してきたんです。だから私は、「もし私が先生のお母さんだったら、先生はどの治療法を勧めますか、って聞き返しました」
 リサがこの整形外科医にした質問を私たちもしばしば受ける。
「もし私が先生のお母さんや妹さんだったら、あるいは先生ご自身だったらどうされますか?」という質問だ。
この問いの意味するところは「あなたが本当に「ベスト」だと思うものを教えてください」ということだ。
患者は、医療過誤や皮様、職業的な関係、病院間の連携、そして治療の勧めに制限や影響を与えるその他全ての因子を忘れて答えてほしい、と期待しているのだ。
しかし、現実的にはたとえ同じ疾患を抱えていたとして、もしの医師の母にとってベストであるものがリサにとってもベストであるとは限らない。

決められない患者たち
Jerome Groopman MD (著), Pamela Hartzband MD (著), 堀内 志奈 (翻訳)
医学書院 (2013/4/5)
P109


DSC_2122 (Small).JPG美瑛

P161
 私たちはしばしば患者や、家族、友人に「ベストの」外科医は誰か、「ベストの」皮膚科医は誰か、「ベストの」小児科医は誰か、といった質問を受ける。そんなとき私たちも同じように、たった一人の「ベストの」医師がいるわけではない、と答える。
どの分野にも多くの経験豊かで、臨床能力に優れ、コミュニケーションスキルの長けた医師が存在するのだ。

P298
 ある病気の治療について、誰が「ベストの医師」か、と聞かれることがしばしばある。
一つの判断基準として、その病気と治療に関する知識、科学的なデータの用い方、いわゆるエビデンス・ベースと・メディシンを行っているか、ということが挙げられる。しかし私たちが考えるベストの医師とは、さらに一歩踏み込んで「ジャッジメント・ベースト・メディシン」、すなわち使用可能なエビデンスを考えに入れることはもちろんだが、それを個々人にどのようにあてはめるかを慮った医療を行う医師である。
 患者の中には自分と同じ考え方の医師を求めるひともいる。最大限主義者は最大限主義者の医師を好み、最小限主義者は最小限主義のアプローチをとる医師を選ぶといった具合だ。~中略~
自分自身の好みを患者に押しつけるような医師もいただけないが、患者の決定に唯々諾々と従うだけの医師から得られるものも少ないだろう。
選択の過程でその後押しをするだけでなく、あえて問いを投げかけてくれるような医師のほうが時としてより自分のためになることもあるのだ。

P290
全ての患者は、自分のなかに自分自身の医者を持っている。
             アルバート・シュバイツァー


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