主要組織適合抗原（MHC)

主要組織適合抗原（MHC)という分子は「自分が何者であるか」を周知に知らせる標識だ。
戦国時代の合戦では、敵味方を識別する目印として旗指物が使われた。MHCはこれにそっくりだ。
　人という生き物は、MHCを免疫細胞だけでなく、体細胞の上にも持っている。MHCはきわめて多様性に富んでいて、形状や性質に微妙な個人差があることが知られている。
～中略～
　MHCは人だけに限定すると、ヒト白血球抗原（HLA)とも呼ばれる。HLAという名称が存在感を増すのは、血液のがんである白血病の治療のために骨髄移植をするときだ。治療を成功させるには、骨髄の提供者と移植を受ける患者のHLAの型を、かなりの精度で適合させることが必要だ。

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病
岸本 忠三(著), 中嶋 彰 (著)
講談社 (2016/1/21)
P120

北海道大学

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