紀伊山地の霊場と参詣道 [雑学]
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」というと、だいたい総称して「熊野古道」と呼ばれることが多いのだが、そこには熊野三山以外にも、奈良県の吉野・大峯(おおみね)、和歌山県の高野山などが含まれている。そして、日本有数の聖地、伊勢神宮と熊野三山とを結ぶ伊勢路が三重県を縦断しているのだから、もちろんその存在についても無視することはできない。
世界遺産とされたのは、そうした異なる信仰(神道、仏教、修験道など)が道によってそれぞれ意味深く結ばれている点を評価されてのことなのである。
たしかに「紀伊山地の霊場と参詣道」はいまでも神仏混淆のメッカで、神道、仏教、道教、修験道など、日本人の宗教を構成するあらゆる要素がそこに混在している。吉野一帯にも金峯山寺のみならず水分(みくまり)神社や金峯神社などがあるし、高野山には丹生都比売(にうつひめ)神社がある。奈良の天川大弁財天神社はまさに神仏混淆の地で、当然のように般若心経が読まれている。そこには神仏習合というような意識さえ存在していない。
世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く
植島 啓司 (著), 鈴木 理策=編 (著)
集英社 (2009/4/17)
P20
世界遺産神々の眠る「熊野」を歩く (集英社新書 ビジュアル版 13V)
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/04/17
- メディア: 新書
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