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パーソナリティ障害 [医学]

 日常の心の働きにおける偏りやクセが極端にいびつとなり、特に対人関係で問題を重ね、また本人も失敗から学ぶといった姿勢がまったく見られず、毎度同じようなパターンでトラブルを繰り返した挙げ句に日常生活が満足に営めなくなると、ここでその人は「パーソナリティ障害」の領域に突入したということになる(以前は人格障害と呼んでいたが、その名称では生々しすぎるということで最近はパーソナリティ障害と言い換えられている)。
 したがって、「個性的な人」とパーソナリティ障害とのあいだに明確な線引きはできない。

はじめての精神科―援助者必携
春日 武彦 (著)
医学書院; 第2版 (2011/12)
P107


DSC_2630 (Small).JPG一畑寺(一畑薬師)



P145
 これらの人々では、自己中心的で他者配慮に欠ける面や、情緒不安定で適切な対人関係の距離を保つことができないという特性から、治療構造を守れないということが起こってきているように見えます。医師側が、「困っているから」「見捨てるとよくないから」と安易に要求に応じていると、その要求はますますエスカレートしていき、それを満たしてもらえなくなると、逆に強いこき下しが始まることになります。
 したがって、約束された時間内の診療にとどめるほうが結果的に医師―患者関係を安定させ、治療をスムースに進めさせ、治療効果も上がっていくことになります。もちろん設定外の時間の面接はしないけれども、診療時間内であれば受け付ける用意がいつもあるということ、それはすべての患者さんに守ってもらっていることで特別扱いはしないが決してその人を見捨てているのではないということについて、折を見て説明しておくことが必要です。

P182
 まず「精神医学事典」(弘文堂、新版一九九三年、縮刷版二〇〇一年)では、パーソナリティ障害について「病気ではないのに、その人の行動、態度、対人的な関わり合い、思考の様式などが普通の人と大いに変わっていて、そのために自分が悩んだり周囲の人々を悩ませたりする場合を呼ぶ」とあります。
すなわち、病気のように一次的な現れではなく、行動や態度、対人的な関わり合いの特徴が思春期以降に持続的に継続しているものを意味します。
 したがって、パーソナリティ障害の発現には、個人の有する生物学的な要因のみではなく、その人の生育歴、つまり家庭や学校の環境、育てられ方、教育のされ方、対人関係、被虐待の経験等、さまざまな出来事が関与すると言われています。言い換えると、人間が成長・発達していく際には、その時期に応じたさまざまな精神発達課題を達成していきますが、パーソナリティ障害ではその発達課題の達成が部分的に未成熟であるということなのです。そのための部分的な育て直しが、心理療法を通して必要であるとされているのです。

精神科医はどのように話を聴くのか
藤本 修 (著)
平凡社 (2010/12/11)



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