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敵国外患なき者は、国恒に亡ぶ [国際社会]

「貞観十五年、太宗、侍臣に謂(い)ひて曰く、天下を守ることを難(がた)きや易(やす)きや、と」(君道第一・第五章)。
これに対して魏徴は「甚だ難し」と答えた。
太宗がさらに、「賢者・能者に権限を委譲して政務を行なわせ、部下の厳しい忠告を聞きいれればよいのではないか」というと、魏徴は次のようにいった。
「昔からの帝王を見ますと、困難な時、危機の時にには賢者を任用し、部下の忠告も受けいれるものです。しかし安楽な状態になりますと、必ず「寛怠を欲す」すなわち、気がゆるんで楽をしたいと思うものです。
安楽な状態に依存してこの「寛怠を欲す」になりますと、直言がうるさくなりますので、臣下もついつい恐れて何もいわなくなります。そうなると、日に月に徐々にすべてが頽勢に向かっていきまして、ついに危亡に至ります。
聖人の「安きに居りて危きを思う」理由はまさにこのためです。安らかにして、しかも常に警戒する。これはじつに困難だといわざるを得ません」。

帝王学―「貞観政要」の読み方
山本 七平 (著)
日本経済新聞社 (2001/3/1)
P65

帝王学 [貞観政要]の読み方

帝王学 [貞観政要]の読み方

  • 作者: 山本七平
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 1983/12/19
  • メディア: 単行本

 

 

 

 

DSC_2969 (Small).JPG宗像大社

P66
 「孟子」に有名な「敵国外患なき者は、国恒に、亡ぶ」という言葉がある。一見矛盾するようだが、これを「競争なき独占は恒に滅ぶ」と読むと面白い。
いずれにせよ。こうなると部下は恐れて直言しないという「情報遮断」が起こるが、同時に、部下同士も、なるべく論争などにならず、なるべく内部の意見の対立などないようにして、一応、表面はすべてうまくいっているように取りつくろうという状態を現出しる。
そうなると、現実に何が進行しているのか、だれにもわからなくなる。

帝王学 [貞観政要]の読み方

帝王学 [貞観政要]の読み方

  • 作者: 山本七平
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 1983/12/19
  • メディア: 単行本


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