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歴史を書き換えるのは勝者の特権 [国際社会]

支那大陸において、歴史を書き換えるのは勝者の特権である。中華民国においても、中華人民共和国においても、元、明、清のすべてが自分たちの祖先である中華王朝として扱われている。
 中華人民共和国公式見解では、満州、モンゴル、新疆ウイグル、チベットは中国固有の領土である。いずれも、一度は中華帝国の版図になったことがあるからである。

日本人だけが知らない「本当の世界史」
倉山 満 (著)
PHP研究所 (2016/4/3)
P137

日本人だけが知らない「本当の世界史」 なぜ歴史問題は解決しないのか (PHP文庫)

日本人だけが知らない「本当の世界史」 なぜ歴史問題は解決しないのか (PHP文庫)

  • 作者: 倉山 満
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/04/03
  • メディア: 文庫

P194
 最終的に、ヒトラーに対して米英ソの「大同盟」が勝利するのだが、しばしば「ファシズムに対するデモクラシーの勝利」という偽善的な価値観で語られる。ナチス一党に支配されたドイツが一国一党のファシズムであったのは間違いないが、同じく共産党一党支配のソ連はデモクラシーなのだろうか。
 ヒトラー最大の悪行とされるユダヤ人虐殺だが、では、他のヨーロッパではどうなのか。同じ時代のスターリンはどうなのか。ヒトラーよりもはるかに多くの人間を殺しているではないか。
 ナチスの悪魔化は戦勝国にとって都合がよい歴史観だが、特にヨーロッパ人にとっては、自らが封印した暗黒面そのものなのである。だから忌避されるのである。

P195
 そして、ナチスドイツの同盟国であった大日本帝国について、「日本は言われるほど悪い国だったのか」と主張するときでも、必ず、「日本の非道と残虐行為」について言及するのが欧米の学術書の暗黙の掟であることを、どれほどの日本人が知っているだろうか。  本来、第一次大戦に事実上の圏外の地位を守った日本は、ヨーロッパの大戦とは無関係のはずだった。ところが、第二次大戦ではわざわざ敗戦国の側につき、いまだにナチスと同類の悪魔国家として扱われている。
 現象面では、国策の誤りの一言で片づけられる。ではなぜ国策を誤ったのか。その本質は、総力戦に対する無理解にある。
自らが身につけたヨーロッパ的価値観が、アメリカ的価値観に取って代わられる時代に、適応できなかったのである。

P217
 日本がヨーロッパ人のつくったルールでうまくゲームをこなせるプレーヤーになったとたん、ルールそのものを破壊するアメリカが世界の覇権国家となった。
 これは人類の不幸であったと断言してよいだろう。拡大された決闘としての戦争にはルールがある。粉争はルール無用である。
 ベトナム戦争はフランスに対するベトナムの独立戦争だったが、いつの間にかアメリカが介入して主役になっていた。そして一方的な都合で撤退した。
 一九九〇年代のユーゴ紛争はさらに不幸だった。バルカン半島西北部のスロベニアのユーゴスラビアからの独立戦争に端を発して戦いは始まり、いつの間にか西部のボスニアや南部のコソボが主戦場となっていた。

P206
勝者であるアメリカは南北戦争と同じように、国体を破壊する憲法を強要し、事後法による復讐裁判を行い、歴史教育でそれらを正当(統)化した。
 これらの行為に対して、日本人はあまりに無自覚であった。昭和二十年八月十五日は、終戦記念日などではなく、アメリカ人にとっては総力戦の本番開始なのである。
 もちろん、これは吉田だけでなくほとんどの日本人が理解できていなかったし、占領軍のあらゆる国際法違反を何一つ咎め立てしていない。
 これも、講和条約が結ばれれば、政府として過去の戦争のことを持ち出さないという、ウェストファリア体制のパラダイムを遵守しているのである。しかし、日本の周辺諸国でその意味での近代文明を有している国がどれほどあるだろうか。
 アメリカが非ウェストファリア国家であることは何度も強調した。中国や韓国のような儒教国家は、近代国家とは異質である。ロシアは国際法を理解したうえで破る常習犯である。テロ行為を繰り返す北朝鮮は論外である。かろうじて台湾くらいだろうが、その台湾は世界の国の一割からしか国家として承認されていない。

P211
 ドイツ(当時は西ドイツ)のほうはよく言われるように、戦争責任をすべてナチスに押しつけ、ドイツ民族や国家としては補償しか行っていない。
重要な用語なので確認するが、補償とはあくまで「お悔み」であって、自らの非は認めていない。
ドイツ(人)もまたナチスの被害者であるが、行為そのものはヒトラーに操られて迷惑をかけているので、その補償はして善意を示すということである。非はナチスだけにある。
 その代わり、ナチスを否定する教育を行なうことを事実上の国際公約にしている。
そうしなければヨーロッパでは生きていけないからだ。ドイツもその他ヨーロッパでは生きていけないからだ。ドイツもその他ヨーロッパ諸国の双方ともに、このフィクションを胡散臭いと思いながら、現実政治の都合上、そうした建前で外交関係を続けてきた。

P212
平成五年(一九九三年)の「従軍慰安婦に関する河野談話」と「侵略戦争に関する細川談話」、二年後の植民地支配と侵略に関する村山談話」と、「過去の侵略と戦争犯罪」を謝罪する政府声明を出し続ける。
 これらはすべて、サンフランシスコ講和条約以降の条約に上乗せされる約束である。敗戦国の側から過去の戦争に関する謝罪を申し出ているのである。
補償と違い、謝罪は自らの非を認めている。戦勝国に拒否する理由はない。なんの労もなく、日本を国際社会に受け入れる条件を釣り上げることに成功したのだ。
~中略~
 中国や北朝鮮、あるいはロシアが大日本帝国の復活を望むはずがない。アメリカや韓国も同じである。
~中略~
 日本が敗戦国のままでいてくれたほうが、国際社会にとって都合がよいのである。
 日本が歴史問題を解決しようと真剣に思うなら、もう一度戦争を行なって勝つ覚悟が必要なのである。


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