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安心(あんじん) [言葉]

 どんな時にも心が安定していて、何の苦悩もないこと。
 禅では、そんな「安心」を得るために、修行に励みます。
 心が静かに澄み渡り、ひとかけらの不満も不安もない状態。自分の中に仏性があると気づき、生かされていることのありがたさにただ感謝だけがある状態です。
 不安や心配事は、ともすると心を占領して私たちを悩ませますが、それらは自分自身が心の中で作り出しているものです。不安や怖れ、怒りなど、マイナスの感情を手放して「安心」を得ると、日常のささやかなことに大きな幸福感を感じられるようになります。

怒らない 禅の作法
枡野 俊明 (著)
河出書房新社 (2016/4/6)
P190

 

怒らない 禅の作法 (河出文庫)

怒らない 禅の作法 (河出文庫)

  • 作者: 俊明, 枡野
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: 文庫


DSC_2806 (Small).JPG須佐神社

P201
 面白いことに、人間では、理性的に先の展開を予測すればするほど(こうした個体は経済的に有利になりやすいということがわかっているにもかかわらず)、悲観的な未来を詳細に想像して準備する力が高いために、現在をネガティブにとらえる傾向が高いのです。
 この現象は思春期からすでに見られ、こうした知覚の鋭い成績優秀者では、ほかの生徒と比べて悲観的な傾向が強いと考えられています。だからこそ勤勉になり、結果を出すことが可能なのだとも言えますが、本人の内観を想像すれば、ネガティブな未来からのリアルな脅迫を感じながら毎日をすごさなければならないのは、かなりの苦行でしょう。

P203
 宗教性が人間にもたらす知覚体験は、それなしでは生き残ってこられなかった「ネガティブな未来に対する不安」から私たちを絶妙な精度で解放し、遠い未来や手の届かない過去を認識させることによって逆説的に、”今”と”ここ”に私たちの目を向けさせ、生きる力を与えてくれるものだということができます。
 これは観念の遊戯というよりも、もっと実際的に活かされるべき知見と言えます。長期的な視座に立ち、「ナガティブな未来を感じる力」こそが、あらゆる不測の事態に対する準備を私たちにさせて、より生き延びる、確度を上げる能力と同じものだということを、多くの人は感覚的に知っているでしょう。
 すでに述べているように、不安傾向の高い人のほうが長命を維持する割合が高く、健康でいられるという研究結果も知られています。
 苦痛を忘れて芸術の快楽や知の遊戯に溺れるなどということではなく、不安によるストレスを和らげつつも鋭く未来を見据える力を一定の水準に保ち、冷静に力強く対処する―その工夫のためのツールとして活用できるものを積極的に思考の中に取り入れることが、「弱み」を、生き延びる強さに変える生き方を構築する助けになります。

空気を読む脳
中野 信子 (著)
講談社 (2020/2/20)


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