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アメリカ市民を儲けさせるのが大統領の役目 [国際社会]

アイアコッカ氏が、ある人がこういった、と書いている。
「なぜ、みんながあなた(注・アイアコッカのこと)を大統領にしたがるか、わかりますか。
理由は簡単です。国民はもうだれを信じていいのかわからくなったのです。そこへあなたが現れ、彼らに語りかけ(注・かfれはテレビ―といっても自社のコマーシャル―によく出る)信じさせ、約束を実行した。裏切らなかった。アメリカ国民は、裏切られ続けてきましたからね」
 この言葉は、平均的アメリカ人の本音かもしれない。アメリカ市民ぜんたいを儲けさせる、豊かにさせる、それだけを保証するのが大統領であるはず、というのである。
であるのに、その”期待”をどの大統領も裏切りつづけたじゃないか、と解していい。
考えてみると、アメリカというのは、まことにあっけらかんとした国である。
それだけに、アメリカの儲けを阻んでいる相手には、これほどどすのきいた国はない。そのことは二十世紀初頭前後の凄惨な日系人排斥をみればわかる。

アメリカ素描
司馬 遼太郎(著)
新潮社; 改版 (1989/4/25)
P114

 

DSC_3866 (Small).JPG関門海峡


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