SSブログ

神のエネルギー [哲学]

P156
 あらゆる物の精は、これこそが物に生を与えている。地上では五穀を生じさせ、天上ではつらなる星となる。天地のあいだを流れていればそれを鬼神と呼び、それを胸中におさめている人を聖人という。【30】
神のエネルギーという概念は、古代ではとくに珍しくなかった。それどころか、ユーラシア全体にわたる概念だった。インドには「プラーナ(気息)」という概念があり、ギリシアには「プネウマ(息吹、霊魂、霊)という概念があった。どの概念もすべて、ことばで言いあらわせず目にも見えない生命の力が宇宙全体を駆けめぐり、生命そのものの起源に関与しているという感覚を説明していた。
 今日、多くの人は活力の実感が神のエネルギーから生じるという話に懐疑的だろう。けれども、<気>は、わつぃたちが元気になるために必要なものをあらわすのに便利なたとえだ。
本当にあると信じなくとも、そこから学べることがある。わたしたちはただ、このようなエネルギーを<かのように>の考え方でとらえればいい。~中略~
 通常、わたしたちは二元論的な世界観をもっている。神と人間、物質とエネルギー、心と体―これらをばらばらのことがらととらえている。しかし、「内業」は一元論的な世界観をもち、世界や人間のありとあらゆる要素が気という同一のものでできていると説く。
心でも体でも物体でも精神でも、土でも人でも動物でも空気でも、とにかくなにもかもがこのまったく同じ物質でできている。
 しかし、気はあらゆるもののなかに存在しながら、純度の違いは無限にある。岩、泥、土など、宇宙の無生物の部分は、劣った粗い気でできている。これは「濁った気」とよべるだろう。
 純度が高くなるにつれて、気は<精>になる。精がほかのすべてと別格なのは、生きているもののなかにしか存在しないからだ。植物や動物がもつ生気を与える力だ。
 最後に、気がもっとも霊妙で純度が高い状態のとき、<紳>の気になる。神の気はエネルギーがきわめて高いため、まわりのものに実際に影響をおよぼす。神の気は魂そのものだ。魂は生気を与えるだけでなく、生物に意識を与える。
 植物は生気を与える気、すなわち精を宿しているが、神にはなれない。魂をもつことはかなわない。考えることも世界に手を加えることもできない。ただ世界に存在するだけだ。
一方、魂は神の気であり、生気にあふれ能動的で生き生きしている。完全に鮮明で、一点の曇りもない意識で世界を見る。あますところなく世界を見られることで、世界に変化をもたらす作用を発揮できる。
※30 凡(およ)そ物の精(せい)は、比(ひ)すればすなわち生をなす。下(しも)は五穀を生じ、上(かみ)は列星(れつせい)となり、天地の間に流(し)く、これを鬼神(きしん)という。胸中に蔵(ぞう)する、これを聖人という。

P169
 周囲の浮き沈みに左右されず、感覚が洗練され、体は中世を保って健康なら、安定した心に到達する。これによって、きみの全存在は<精>(住人注;純度の高い気)の器になる。
 安定した心が内にあれば、耳や目は鋭敏になり、両手両足は健全になり、には精が宿ることになる【35】
 <気>はきみの内面できわめて重度の高い、集中した状態となり、きみは最上位の気からなる<神>のような状態になる。神は、活力にあふれた長命の人生を可能にする。きみは、”まるで神のように気を一つに集中する【36】”ことを学んだということだ。

ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義
マイケル・ピュエット (著), クリスティーン・グロス=ロー (著), 熊谷淳子 (翻訳)
早川書房 (2016/4/22)

DSC_5063 (Small).JPG和布刈神社


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント