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耐えられる程度のストレスが幸福を持続させる [ものの見方、考え方]

P200
 本庶先生(住人注;本庶佑(たすく))の研究室・京都大学大学院医学研究科・免疫ゲノム医学のホームページには「6つのCを大切に」とあって、そこには「好奇心Curiosityを大切に勇気Courageを持って困難な問題に挑戦Challengeし、必ずできるという確信Confidenceをもち全精力を集中Concentrateさせ、諦めずに継続Continuationすることで、時代を変革するような研究を世界に発信することができるのです」と書いてあります。
 PD-1の研究は、本庶先生のモットーである6つのCが結実したものです。

P205
 石田さん(住人注;石田靖雅 現・奈良先端科学技術大学院准教授)やわたしが在籍していた頃の本庶研は、セル、ネイチャー、サイエンスといった超一流雑誌に論文がコンスタントに出る超一流の研究室でした。
とはいえ、そのような論文の筆頭著者になるには、並大抵の努力だけでなく、運も必要です。そのような大きなプレッシャーの中、50人ほどもいたメンバーが切磋琢磨していました。 ほんとうに、今の時代となっては信じられないくらいに厳しい研究室でした。
 土日なしなどはあたりまえ。連日、深夜まで研究室にはあかりが灯っていたものです。わたしにはとてもできませんでしたが、週に100時間も研究室にこもっているような人もいました。
 人間、苦労を売り物にしたら最後だと思うのですが、人生においていちばんしんどかったのは本庶研時代でした。最初の2年間ほどはまったくデータが出ず、プレッシャーから、もう研究をやめようと文字通り涙したこともありました。しかし、その後、幸運に恵まれていい研究ができ、サイエンス誌に論文を出して、教授になることができました。
 それから何年も後のことですが、本庶先生がお書きになられた「幸福感に関する生物学的随想」という小冊子が送られてきました。そこには、「人が耐えられる程度の不快な思いをすること」も、幸福感を永続的に味わわせるのに有効ではないか、と書かれていました。
えらく辛かったけれど、ひょっとしたら、本庶先生は、我々、弟子たちの幸福感を持続させるためにプレッシャーをかけてくださっていたのかもしれないと、弟子仲間で苦笑したものです。

(あまり)病気をしない暮らし
仲野徹 (著)
晶文社 (2018/12/6)

DSC_6214 (Small).JPG金峯山寺


タグ:仲野徹
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