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なぜ結婚するのか [雑学]

P81
 医学部の女子学生が、自分と同等以上の収入を男性に望むという結果が示された同じ研究で、男子学生の実に6割が、配偶者には自分より収入の低い相手を望み、4割が自分よりも職業的地位の低い相手を望んだとあります。
 人類学者のフィッシャーは、女性が経済的自立を達成すると離婚率が高まる、と指摘しています。この傾向は資本主義社会の先進国であっても部族的社会であっても変わらず、貧しい国であろうが豊かな国であろうが同じだったと述べています。
 一方で、地位が高く高収入を得ている男性は、地位が低く収入も低い男性よりも結婚する確率が高い。既婚者の場合は、男性の収入が過去の収入や同僚の収入よりも減ってしまうと、別居や離婚の可能性が高くなる、といいます。

P90
 女性というのは、いわば”呪われて”育ちます。
 たとえば成績が良くて褒められたとしても「男の子だったらねえ・・・・・・」と、褒められた直後に息をつかれてしまったり。理数系の科目が得意ならばそのためため息はより大きく深くなり、「女の子[なのに」よくできたね」などと言われてしまったりします。
 特に日本ではそうした傾向が強いようですが、自分の意見をはっきりと口にしたり、大人の考えと違うことを理路整然と主張したりすると、男の子ならば賢い子だ、とほめられるような場面でも「お嫁に行けないよ」という言葉で脅迫されてしまう。「お嫁に行けない」という言葉は女の子に対しては負のインセンティブとして働き、いけないこととして刷り込まれていきます。
 このためなのか、結婚を考える年ごろになったときに「どうして結婚がしたのか」という質問に対して、女性は明確な理由を言うことが難しいようです。心の中でうすうす不満と不安を抱えていても、「結婚「できない」ことで女として劣っていると思われかねない社会で、多くの世間の人たちにそういう視線を向けられることが負担だから結婚したういのだ」とは、なかなかはっきりと口に出すことは、それ自体が「女らしくない」などとみなされるおそれがあり、はばかられるものでしょう。
 母親の姿などを見て「結婚はそんなにいいものだとは思えない」と言う人でも、結婚だけはしなければ、と脅迫的に見えない圧力を感じている人は少なくないようです。
愛する人と一緒にいたい、という気持からよりも、結婚すれば周りから何も言われないですむ、と考える人が相当数いるというのが実際のところのようです。

P97
 学生時代など発達段階で経験させられてしまった、たとえばスクールカーストで味わった低い順位などの屈辱的な記憶を、結婚した相手のステータスによって解消したいと望む人は少なくないようです。男性のステータスによっては、それを利用して女性が優位に立とうとする(マウンティングと呼ばれる)現象が見られることもあります。
 興味深いことですが、現代の日本社会では、女性にとって結婚相手のステータスは自分の学歴と同じか、またはそれ以上の機能を果たします。自信が特筆すべき学歴をもっていなくても「私の旦那は○○大学卒なのよ」とアピールすることで、それを手に入れた自分が承認されるような感覚が得られるようです。そうした場面を経験したことがある人も多いでしょう。逆に、自信の学歴が高いことはあまり評価されず、むしろパートナーを探すのに困った経験のある女性も少なからず存在するでしょう。

空気を読む脳
中野 信子 (著)
講談社 (2020/2/20)

 

 

DSC_6347 (Small).JPG天河大弁財天社(てんかわだいべんざいてんしゃ、天河神社)


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