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今を生きる [人生]

P43
 一〇 ほかのものは全部投げ捨ててただこれら少数のことを守れ。
それと同時に記憶せよ、各人はただ現在、この一瞬間にすぎない現在のみを生きるのだということを。
その他はすでに生きられてしまったか、もしくはまだ未知のものに属する。ゆえに各人の一生は小さく、彼の生きる地上の片隅も小さい。またもっとも長く続く死後の名声といえども小さく、それもすみやかに死に行く小人どもがこれを受けついで行くことによるにすぎない。
その小人どもは自己を知らず、まして大昔に死んでしまった人間のことなど知る由もないのである。

P52
要するにつぎのことを思い浮かべるがよい。きわめてわずかな時間の中に、君もあの人間も死んでしまい、その後間もなく君たちの名前すらあとに残らないであろうということを。

P56
 一九 死後の名声について胸をときめかす人間はつぎのことを考えないのだ。すなわち彼をおぼえている人間各々もまた彼自身も間もなく死んでしまい、ついでその後継者も死んで行き、燃え上がって消え行く松明(たいまつ)のごとく彼に関する記憶がつぎからつぎへと手渡され、ついにはその記憶全体が消滅してしまうことを。
しかしまた記憶するする人びとが不死であり、その記憶も不朽であると仮定してみよ。
いったいそれが君にとってなんであろうか。いうまでもなく、死人にとっては何ものでもない。
また生きている人間にとっても、賞賛とはなんであろう。せいぜいなにかの便宜になるくらいが関の山だ。
ともかくも君は現在自然の賜物をないがしろにして時機を逸し、将来他人がいうであろうことに執着しているのだ(15)。

マルクス・アウレーリウス 自省録
神谷 美恵子 (著)
岩波書店 (2007/2/16)

 

 

 

 

DSC_6388 (Small).JPG熊野本宮大社


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