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無所得・無所求・無所悟 [宗教]

 仏道を学ぶ道において最も重要なことは座禅であり、座禅が第一である。大宋国(中国)の人が、数多く得道した(悟りを開いた)のも、みな座禅の力である。
であるから、修行者はただ座禅をして、ほかのことに関わってはいけない。仏祖の道はただ座禅であり、ほかのことに関わってはいけない。
(中略)

古人の悟りの言葉を学んで、少しばかり分ったようなつもりになっても、それがかえって仏の道から遠ざかる原因になることもある。
所得を求めず、悟りを求めないで、ただ座禅して時を過ごすことが、そのまま修行者の生き方なのである。
古人も、語録を見ることとただ座禅することを共に勧めているが、それでも座ることの方をよりもっぱらに勧めている。
古人の言葉を学んで悟りを開いた人もあるが、それも実は座った功徳によって悟りを開く因縁となったのである。本当の功徳は座ることにあるのである。
(巻六)

角田 泰隆 (著)
禅のすすめ―道元のことば
日本放送出版協会 (2003/03)
P102

禅のすすめ―道元のことば (NHKライブラリー)

禅のすすめ―道元のことば (NHKライブラリー)

  • 作者: 角田 泰隆
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2020/09/08
  • メディア: 単行本


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(住人注:オークションで)もっとも長いあいだ最高額の入札者だった人は、最終的に仮想の所有意識をもっとも強く抱いていた。
もちろん、最高額入札者の立場は危ういものだ。そのため、いったん自分が所有者だと感じると、その立場を失わないように、しかたなくどんどん高い額を入札していた。

 「仮想の所有意識」が広告業の推進力のひとつになっているのは言うまでもない。
幸せそうな夫婦がBMWのオープンカーでカルフォルニアの海岸線を走るのを見て、そんな自分の姿を想像する。
~中略~
 ほかの方法でも、所有権に釣りこまれることがある。
企業はよく、販売促進のため「おためし」を設ける。
~中略~
 同じように客を誘惑する罠の例には、「三〇日間返金保証」というのがある。

所有意識は物質的なものに限ったことではない。ものの見方のもあてはまる。~中略~
もっともありがちなのは、その思想を失うことに耐えきれず、なかなか手放せなくなることだ。その結果、残るものは何か。
かたくなで柔軟性のないイデオロギーだ。

所有意識という病を治す既知の方法はない。
アダム・スミスが述べたように、所有意識はわたしたちの生活に織り込まれている。だが、そうと気づくことは助けになるかもしれない。

予想どおりに不合理[増補版]
ダン アリエリー (著), Dan Ariely (著), 熊谷 淳子 (翻訳)
早川書房; 増補版版 (2010/10/22)
P236

 

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: ペーパーバック



 君が川を渡るために筏(いかだ)をつくって、
川を渡ったあとでこう考えたとしてみよう。
「この筏はとても役に立ったから捨てずに背負って歩いてゆこう」と。
そんなお荷物をかかえ込んでしまっては、
重たくて重たくて、まともに歩けはしなくなる。
それが君の業績であれ学歴であれ職歴であれ、この筏と同じこと。
私の言葉も教えも心理すらもまた、
この筏のようなものにすぎないのだから、
君が私の教えを使い終わったなら、惜しむことなく捨て去るように。
中部経典「蛇喩経」

超訳 ブッダの言葉
小池 龍之介 (著)
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2011/2/20)
一五六  


超訳 ブッダの言葉 (ディスカヴァークラシックシリーズ)

超訳 ブッダの言葉 (ディスカヴァークラシックシリーズ)

  • 作者: 小池 龍之介
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2011/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




信仰と、愛と、希望、この三者がキリスト教のいちばん大切なものと考えられている。
仏教では、この希望ということがないように、他の宗教者が批判することもあるけれども、仏教も詮索してみると、希望というものがはっきりはいっている。
禅宗などは、もっとも希望のないような宗教のように、昔から言われているけれども、よく吟味してみると、やはり、希望という感情はある。これがなかったならば禅宗の禅宗たる面目もないように思う。
知的、直覚的の思想で固めた人でも、やはり一種の希望というものはあるように感ずるのである。
この希望ということから出て来るものがある。だんだん出て来るものがある。すなわち今言った信頼するとか、畏敬するとかいうようなものは、それから出て来る複雑な感情である。それがないと宗教にならぬ。
安心というものがある。信任するということは安心と見てもいいが、しかし信任するだけでは、その意味を十分表わすことができないと思う。これがいいという安心するところがある。この安心というというものが宗教にないといかぬ。
~中略~ いかに恐怖の念があっても、その外に信任と言ってもいい、希望と言ってもいいが、ここに確固たる安心というものがなかったならば、やはり宗教は成り立たないと思う。

禅とは何か
鈴木 大拙
角川書店; 改訂版 (1999/03)
P183

禅とは何か (角川文庫ソフィア)

禅とは何か (角川文庫ソフィア)

  • 作者: 鈴木 大拙
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2020/09/08
  • メディア: 文庫




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