北欧世界と人間のはじまりとおわり [雑学]
こうした神々や、巨人や、小人やら、また彼らの住むアスガルドやヨツンヘイム、またミッドガルドなどは、どうしてできたか。
北欧の人たちは、天地のはじまりをどのように考えたか。
「巫女の予言」という古い歌にはうたわれているー
太古のときには
なにものもなかった
砂なく、海なく
しおからい波もなかった
下に大地なく
上に天なく
ギンヌンガ・ガップ(底しれぬさけめ)には
草一本はえていなかった・・・・
山室 静 (著)
ギリシャ神話―付・北欧神話
社会思想社; 再版版 (1962/07)
P234
P321
こうして「巫女の予言」に歌われた通り、神々の世界は滅び去っていった。
だが、それが最後ではなかった。沈黙と暗黒のあとには、またあたらしい日がくるのだ。海の底から、あたらしい陸地が青々と美しく浮かびでてきた
。その土は種をまかなくても収穫できた。古い太陽の娘のあたらしい太陽が、その母親よりももっと美しくソラにかがやき出た。以前の悪や罪はみな消えてしまった。
バルドルはまた行きかえって、光と美とがまた世界にかえってきた。
P342
「北欧神話の世界は奇妙な世界だ。それは人間の空想した他のいかなる天国にも似ていない。
そこには何ら喜びの輝きはなく、幸福の保証もない。しかもその上に避けがたい破滅の脅威がのしかかっている深刻厳粛な場所だ。神々は知っている。いつか彼らの滅びる日がくることを。
いつか彼らは敵を迎えて、敗北と死の中へ没しなければならぬだろう。善の力の悪の力に対する防戦は絶望的だ。にもかかわらず神々は最後まで戦うだろう。このことは人間性にとっても不可避なのだ。」(エディス・ハミルトン)
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