親や仲間と過ごす権利 [社会]
一日の終りに疲れてテレビをつけると、チンパンジーが面白おかしいことをしている。それを見て、人があっはっと笑う。
それは人間としてよくない。
チンパンジーを見世物や金儲けの道具にしてはいけない。
母親や仲間と離れて暮らすと、チンパンジーの挨拶や性行動ができなくなる。
おぼえておいてほしい。テレビにでてくるチンパンジーの顔は肌色だ。あれは子どもの特徴だ。
子どもは肌色の顔をしていて、大人になると真っ黒な顔になる。
つまり、テレビの番組やコマーシャルに出てくるのはみんな子どもである。本来は母親と一緒にいなければいけない年齢の子どもだ。
そういしたチンパンジーを、いろいろな理由をつけて母親から引き離している。
~中略~
どんな理由があっても、たとえ死にいたったとしても、チンパンジーの子どもを母親や仲間から引き離してはいけない。
彼らには親や仲間と過ごす権利がある。
それを踏みにじってよいという権利は人間の側にない。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P126
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