チンパンジーの子育て [雑学]
チンパンジーの子育てを、生存率と出産率から要約すると、三つの特徴がある。
一つは、5年に一度産む。だから年子がいない。
~中略~
二つめの特徴は、長い間授乳しているということ。
~中略~
女性は授乳しているあいだは、生理が止まって、排卵しないのが通例だ。授乳が終わると、ホルモンの関係で生理周期がもどり、そこでセックスすると妊娠して出産する。
~中略~
三つめの特徴は、母親が一人で子育てをするということ。
チンパンジーの母親は、いってみれば「シングルワーキングマザー」。男の側、お父さんのほうから子育てへの関与はほとんどない。
約5年に一度産んで、長いあいだ授乳して、一人で育て上げ、子供が五歳になって独り立ちすると、また次の子を産む。子どもが独り立ちしてから次の子を生む、それがチンパンジーの子育てだ。
そういうことがわかると、人間の子育ての特徴が見えてくる。
~中略~
人間は、すぐに次の子を産む。母乳以外に離乳食を与えて、早めに授乳をやめる。だからすぐ次の子どもを産める。
そして、シングルワーキングマザーではなくて、母親以外も子育てをする。
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
松沢 哲郎 (著)
岩波書店 (2011/2/26)
P36
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