日本語を漢字で書く困難 [言葉]
清水 先生の「漢字と日本人」を拝読して、非常に盲点をつかれたような気がしました。日本人は日本語という言葉をもっていたが、それを中国の漢民族の言語を書きあらわす漢字で書くことになってしまった。だから漢字を使っていることは、日本人には本当は居心地が悪いことであると。
高島 千数百年前に日本に漢字が入ってきたというのは、たとえばこういうことです。今かりに、英語が、それを書きあらわす手段を持たず、この世に文字は漢字しかないとします。本にも書きましたが、それで仕方なく英語を漢字で書くことにした。そういうことだったんですね。
たとえば「山」という字、最初はとうぜん「サン」とよんでいたでしょうが、この字のさすものは、日本語の「やま」に相当することは明らかであるから、「山」を「やま」とよむことにしたんですね。これは相当奇抜な所業であり一大飛躍でした。
高島俊男氏
はじめてわかる国語
清水 義範 (著) , 西原 理恵子 (イラスト)
講談社 (2002/12)
P138
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