浄土仏教 [宗教]
禅が基本的に出家生活を前提としているのに比べて、浄土教は「普通の暮らしをしながら仏教者として生きる」という道筋であると言えます。
禅仏教は中国で発達しましたが、浄土仏教を極北にまでもっていったのは日本仏教です。その最大のキーマンはなんといても法然です。
法然の思想を単純に表現するなら、「念仏して浄土に阿弥陀仏の往生する」「すべての人々を平等に救うという阿弥陀仏の願いに目覚めて生きていく」ということになります。ここで語られる念仏とは、称名念仏(ナミアミダブツと口に称えること)を指します。
~中略~
法然は複雑に入り組んだ仏教体系の中から、念仏のみを選び取り、残りは捨てるという取捨選択の仏教へと再構築します。これによって、生活形態を問わない仏教が完成します。
まさに、この世俗を生きる仏教の完成です。
~中略~
このように、浄土仏教は、「悟りを開く」ことがメインラインである仏教体系の中において、信心や救いを主軸とするところに特徴があります。「覚の仏教」ではなく「信の仏教」、「慧解脱」ではなく「信解脱」という傾向が強くなります。浄土仏教が弱者の仏教という性質をもっていることがよくわかります。
いきなりはじめる仏教生活
釈 徹宗 (著)
バジリコ (2008/4/5)
P203
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