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平家物語 [雑学]

  (住人注;「平家物語」の冒頭の一節の)ねらいは、「おごれる者」「猛き人」が「久しからず」「滅び」る点にある。
もともと、勝者が敗者に堕ちて死ぬという構想は、こうした軍記物語の基本設定にあった。
 しかも、死者が権力者である場合、その魂は静かに安らかな往生を遂げるとは考えられなかった。そこで、荒ぶる霊威を恐れて、鎮魂するために軍記物語の編集が要請された。
「平家物語」もまた、平家一門の浮かばれぬ諸霊を慰める長大な弔辞の意義を担っていた。 哀調を帯びた美文の底には、慰霊の深い祈りが込められている。

平家物語
角川書店 (編集)
角川書店 (2001/09))
P17  

 

DSC_6296 (Small).JPG 菅尾石仏

P290
(住人注;平家物語の作者は確定できていないが、作成にかかわりがあると思われる盲人の)生仏が東国出身だったので、東国武士からさまざまな情報の提供を得ることができた、 と「徒然草」は記している。「平家物語」の合戦描写のは、東国の源氏武士の戦場体験が反映されているのである。
 言い換えれば、「平家物語」は、平家からみれば仇敵の源氏の資料提供によって制作されたことになる。たしかに、ほぼ全滅といってよい平家に、戦闘詳報を求めるのは酷であろう。
~中略~
 だが、「平家物語」が仇敵源氏の資料提供によって制作されたという皮肉な事実は、思いがけない波及効果をもたらした。
武士階級のなかに、敵味方の憎悪を超えた武士の情がはぐくまれて、武士道という独特の倫理が意識されはじめた。

 

 

 

新平家物語(吉川英治著)が出版されてから、これを史実のように考えている人があんがい多いのに驚く。
 歴史小説と史実のけじめはつけ難い。史実と伝説の境すら明確に説明はできない。
厳密にいって史実として信頼のおけるものは少なく、伝説また具体的な事実に結びついて語られ、たえず歴史化、合理化される傾向をもっている。

郷土門司の歴史
中山主膳 (著)
金山堂書店 (1988/06/01)
はじめに


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