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人は小さな存在である [ものの見方、考え方]

 人はその内よりしてこれをいうときは、天地をも籠蓋し古今をも包括しているものである。
天地は広大であるが人の心の中のものに過ぎぬ。古今は悠久であるがやはり人の心の中に存するものである。人の心は一切を容れて余りあるものである。
しかしその外よりしてこれをいうときは、人の天地の間にあるのは、大海の一滴の如く大砂漠の一砂粒の如きものであり、また人の古今の間にあるのは、天空の一塵の如く大河の―浮漚 (ふおう)の如きものである。
人は空間と時間との中の一の幺微 なるものに過ぎぬのである。
四季と一身と(明治四十四年六月)

努力論
幸田 露伴 (著)
岩波書店; 改版 (2001/7/16)
P123

努力論 (岩波文庫)

努力論 (岩波文庫)

  • 作者: 幸田 露伴
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/07/16
  • メディア: 文庫


IMG_0051 (Small).JPG 阿蘇エルパティオ牧場
タグ:幸田 露伴
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