関係性の回復 [社会]
「関係性」という言葉で私が言いたいのは、人間と人間の間に生じる相互的な心の交流なのである。
親子関係、師弟関係、夫婦関係など、そこに一応の「関係」はあるとしても、私の言っているような深い「関係性」は失われていることが多く、そのために多くの問題が生じていると思われる
。
インターネット書き込みには、「関係性」の喪失の上に立ってなされるので問題が多い。
~中略~
そこで大切なことは、片方で文明のもたらすいろいろな便利さを享受しつつ、それだけに頼ることによって生じる「関係性の喪失」をいかにして防ぐかということであろう。
そのためには、あらゆる人間関係における「関係性の回復」を心がけることが必要である。
そのような関係性によって保証されている限り、インターネットなどを使っていても、すぐに「切れる」ということは生じないであろう。
文明の進歩をほんとうに享受しようとするためには、相当な努力が必要なのである。
(二〇〇四年六月 東京新聞)河合 隼雄
心理療法個人授業
河合 隼雄 (著), 南 伸坊 (著)
新潮社 (2004/08)
P223
お年寄りたちの安否を聞かれて、娘や息子が「もう二十年以上会ってない」「父には放浪癖があり、出て行ったきりだ」「弟のところにいると思っていたが、弟とも五十年間連絡をとっていない」などと答えている。
本当なら、家族のきずなってなんだろう。
気になる科学 (調べて、悩んで、考える)
元村有希子 (著)
毎日新聞社 (2012/12/21)
P36
最近は職場や地域での濃密な人間関係が減り、一方でネット上での人づきあいが増えてきたこともあって、本音で語り合える相手や機械が少なくなってきました。
たとえばフェイスブックのように実名で交流するSNSを見ると、社交辞令のオンパレードのような様相を呈してしることがしばしばあります。
旅先やレストランで撮った写真を自慢気に投稿すると、「素敵!」「「羨ましい!」といったコメントがつき、「いいね!」ボタンが盛んに押されるわけですが、あれはまさにパーティ・トークのようなものでしょう。
一見すると相互依存によって自己愛を満たし合っているようにも思えますが、本音を書けないストレスを感じている人も多いでしょう。
また、匿名の書き込みなら本音がいえるかというと、必ずしもそうではありません。
自分が「自分」でいられる コフート心理学入門
和田 秀樹
(著)
青春出版社 (2015/4/16)
P113
自分が「自分」でいられる コフート心理学入門 (青春新書インテリジェンス)
- 作者: 和田 秀樹
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